日本とフィリピンの海洋境界画定交渉に中国が反発


日本とフィリピン(日比)の間で始まった海洋境界画定交渉と、それに対する中国の激しい反発・対抗措置について、現在の状況は‥‥

1.交渉開始の背景と経緯
202.6年5月下旬、日本の高市早苗首相とフィリピンのフェルディナンド・マルコスJr.大統領が東京で首脳会談を行い、両国間で排他的経済水域(EEZ)および大陸棚の海洋境界画定に関する正式な交渉を開始することで合意した。

• 目的:両国のEEZが重複・近接する海域(主に台湾の東方から太平洋にかけてのエリア)において、国際法(国連海洋法条約:UNCLOS)に基づき正式な国境線を明確にすること。

• 二国間関係の強化:安全保障情報共有協定(GSOMIA)の交渉開始や、関係性を「包括的戦略パートナーシップ」へ格上げすることとも連動しており、海洋進出を強める中国を念頭に置いた連携強化の一環だ。

2.中国側の主張と激しい反発
この発表に対し、中国政府および中国海警局(CCG)は即座に猛反発を示した。

① 外交的な非難(「不法・無効」の主張)
中国外務省は、日比間の交渉海域が「中国の台湾島東方の水域」に関わっていると指摘。台湾を自国領土の一部(「一つの中国」原則)とする立場から、「両国の交渉は中国の領土主権および海洋権益を著しく侵害するものであり、完全に不法かつ無効である」と強く非難しました。中国側の専門家は「中国の権益を無視して日比間で画定できる重複海域など存在しない」と主張している。

② 軍事・警備面での実力行使(海警局によるパトロール)
口頭での批判にとどまらず、中国海警局は台湾東方の海域に艦船(「岱山」などを筆頭とするタスクグループ)を派遣し、「権利保護のための法執行パトロール」を即座に実施した。これは日比の交渉開始という「一方的な発表」に対抗するための「必要な措置」であると位置づけられており、実力行使によって牽制する姿勢を鮮明にしている。

3.周辺国・関係国の動向と主張
当事国および周辺の主な反応は以下の通り。

国・地域 主な立場と反応
日本 木原稔官房長官らが「日フィリピン間の海洋境界画定に関するいかなる合意も、第三国(中国など)の正当な権益を害するものではない」と説明。国際法に則った正当な二国間交渉であることを強調している。

フィリピン:マルコス政権下で対中強硬姿勢を強めており、東シナ海・南シナ海で力による現状変更を試みる中国に対抗するため、法の支配(ルールに基づく秩序)の重要性を訴え、日本や米国との結束を誇示している。

台湾:中国海警局の台湾東方でのパトロールに対し、台湾外交部(外務省)が即座に抗議。「中国には台湾の領土主権や周辺海域の主権的権利に干渉する権利はない」として、中国側の管轄権主張を全面的に拒絶しています。

4.今後の展望
この交渉は、単なる二国間の境界決めにとどまらず、「台湾有事」を見据えた地政学的な位置づけを持っている。

交渉が行われる台湾東方海域(西太平洋)は、中国海軍や海警局が太平洋へ進出する際の要衝であり、有事の際には米軍や自衛隊、フィリピン軍の展開ルートにもなり得る極めて敏感なエリアで、日本とフィリピンがこの海域で国際法に基づく境界を確定させ連携を深めることは、中国の一方的な管轄権主張を阻む法的な壁となるため、今後も交渉の進展に合わせて中国側がさらなる軍事的・威嚇的な対抗措置(海警船の常駐化や軍事演習など)をとる可能性が高く、地域の緊張が一段と高まっている

日本からフィリピンへの防衛装備品の提供・輸出が急速に具体化している昨今、この動きは中国としては極めて気になるところだろう。