北朝鮮が存続できるのは核を持っているからで、だからイランも核に執着する





イランにとって「北朝鮮モデル」は強力な生存の証明であり、同時に現在の戦況(2026年現在の米・イスラエルとの軍事衝突と停戦交渉)においても、核こそが「最後の命綱」であると考えている。

彼らがなぜそこまで濃縮ウランに執着し、手放さないのか。

1.「核がなければリビアやイラクになる」という恐怖
イランの指導部、特に最高指導者層や革命防衛隊の脳裏に焼き付いているのは、以下の「歴史の教訓」だ。

• リビアの教訓(カダフィ政権の崩壊):リビアのカダフィ大佐は2003年、経済制裁の解除と引き換えに核開発計画を完全に放棄した。しかしその数年後、欧米の軍事介入と国内の反乱によって政権は打倒され、本人も無残な最期を迎えた。強硬派はこれを「欧米の甘い言葉に乗って核を捨てた者の末路」と見ている。

• イラクの教訓(フセイン政権の崩壊):イラクのサダム・フセインも、実際には大量破壊兵器(核・化学兵器)を持っていなかったにもかかわらず、「持っている疑惑」だけで米軍に侵攻され、政権を破壊された。

• 北朝鮮の成功例 :一方で、国民がどれだけ飢えようとも、経済が孤立しようとも、核と大陸間弾道ミサイル(ICBM)を完成させた北朝鮮は、米国に政権を転覆されることなく、今なお存続している。

イラン強硬派にとって、「核を持たないままでの妥協は『死』を意味し、核を持つことだけが絶対的な生存保障になる」という方程式は、もはや信仰に近いものになっている。

2.現在の核開発の「異常な進展」と執着
現在のイランを巡る軍事衝突(2026年)の主因の一つも、この核開発にある。イランは現在、実質的に「核の閾値(しきいち)国家」(いつでも核兵器を作れる技術に達した状態)にある。

• 兵器級に近い濃縮ウランの保有:これまでの衝突や空爆を受ける前に、イランはすでに兵器級(90%)の一歩手前である「60%濃縮ウラン」を約440kg以上保有していました。これは追加濃縮すれば、核弾頭を10発近く製造できる量だ。

• 「地下深くに埋もれた」ウラン:相次ぐ米軍やイスラエル軍の激しい空爆(2025年〜2026年)により、イランの主要な核施設(フォルドゥやナタンズなど)の地上部分は破壊された。しかし、最も重要な高濃縮ウランの在庫は、山をくり抜いた地下深くの堅牢な要塞( rubble の下)に「埋没・保管」されており、空爆でも完全には消滅していない。

現在、米国(トランプ政権)は停戦の条件として「濃縮ウランの引き渡しや希釈(無力化)」を激しく要求しているが、イラン側が「それだけは絶対に呑めない」と激しく抵抗しているのは、このウランこそが彼らの唯一の「盾」だからだ。

3.革命防衛隊が絶対に妥協しない「もう一つの理由」
イランが濃縮ウランを手放さないのは、単に「アメリカが怖いから」だけではない。国内の権力闘争において、「核開発を諦めることは、革命防衛隊の存在意義の消滅」を意味するからだ。

彼らは長年、国民に対して「我々は聖なる核技術を守るために戦っている」「欧米の制裁に屈しない孤高のイスラム国家だ」とプロパガンダを流し、困窮に耐えるよう強要してきた。 ここで「経済が苦しいからウランを渡します」と妥協すれば、これまで耐えてきた国民や、前線で血を流してきた兵士たちに対して説明がつかない。体制の「正当性」が内側から崩壊するため、彼らは「対外的な戦争の恐怖」よりも「国内での権威失墜(内乱)」を恐れているのだ。

まとめ:イランの「時間稼ぎ」戦略
現在のイランは、以下のような高度な二面戦術(時間稼ぎ)に出ている。
・外交(表の顔): レバノンや周辺の代理勢力を巻き込み、前提条件(制裁解除や経済補償)を並べ立てて交渉をダラダラと引き延ばす。

・現場(裏の顔): 空爆の瓦礫の下で、核の命綱(濃縮ウラン)を必死に死守し、あわよくば混乱に乗じて「核保有の既成事実化」を狙う。

彼らにとって、石油産業が数年麻痺すること(経済の崩壊)は「耐えられる一時的な痛み」だが、核のカードを失うことは「永遠の敗北」であり、そのためイランの過激派はどれほど経済が焦土化しようとも、ウランの引き渡しには最後の最後まで、命がけで拒否し続けると考えられる。