コストパフォーマンスが良いと評判で結構売れている韓国製ジェット軽戦闘機 FA-50に相当する中国JL-9 / FTC-2000 は何と4分の1以下でという激安価格。
ところで「中国製のジェットエンジンは寿命が短い」というのは、航空軍事の世界では非常によく知られた事実だ。
では、JL-9 / FTC-2000 に搭載されているエンジンはどうなのかという疑問が湧く。
結論から言えば、「やはり寿命は短い(西側基準の4分の1以下)が、枯れた技術なので、中国の最新鋭エンジンに比べてトラブルが少なく、価格も異常に安い」という極めて特殊なキャラクターを持っている。
そもそもこの機体のベースであるMiG-21 は1959年から運用が開始された、まさにベトナム戦争時代の骨とう品だ。

JL-9 / FTC-2000 に積まれている「渦扇13F(WP-13F)」というエンジンは‥‥
1.寿命はどれくらい短いのか?(具体的な数字)
FA-50が搭載するアメリカ製(GE製)のF404エンジンと、FTC-2000のWP-13Fエンジンの寿命(寿命が尽きて廃棄、または大改修が必要になるまでの総飛行時間)を比較すると、その差は歴然だ。
• FA-50(米製 F404): 総寿命 約4,000 〜 6,000時間
• FTC-2000(中国製 WP-13F): 総寿命 約900 〜 1,200時間
西側のアメリカ製エンジンに比べると、約4分の1から5分の1の寿命しかない。西側機なら20年以上使えるところを、中国製は数年ごとにエンジンそのものを新品に載せ替えるか、工場に送ってバラバラにするレベルの大規模オーバーホール(TBO)を行う必要がある。
2.寿命は短いが「信頼性(稼働率)」は高い、という矛盾
「寿命が短い」と聞くと「すぐ故障して墜落する不良品」というイメージだが、このWP-13Fエンジンに限っては少し事情が異なる。なぜなら、このエンジンは「1950年代の旧ソ連の技術」がベースになっているからだ。
• ベースはMiG-21のエンジン: WP-13Fは、旧ソ連の名機MiG-21に積まれていた「R-13」という古いターボジェットエンジンを、中国が半世紀以上かけてコピーし、改良し続けてきたものだ。
• 「枯れた技術」の強み: 最新のステルス戦闘機用エンジン(WS-10など)のように、中国が未知の最先端素材や複雑な3D設計に挑戦して苦労しているものとは違い、構造が極めてシンプルで、中国も作り慣れているため、「寿命は短いが、動かしている最中に突然ぶっ壊れるような初期不良(不具合)は非常に少ない」という、一種のタフさを持っているという。
3.なぜこれでビジネスが成り立つのか?
総寿命がたった1,000時間前後のエンジンを積んだ戦闘機を、なぜ海外(ミャンマーやスーダンなど)が買うのかというと、それを補って余りある「圧倒的なコストパフォーマンス」があるからだ。
前述の通り、FTC-2000Gの機体価格は1機あたり約850万ドル(約13億円)と、FA-50の4分の1以下であり、中国側は、購入国に対して以下のようなビジネスモデルを提示している。
「エンジン寿命が来たら、また新しいエンジンを格安で売ってあげる。構造がシンプルだから、君たちの国の技術力でも簡単にエンジン交換ができるよ」
エンジン自体の価格が西側製のパーツに比べて激安なため、「数年ごとに新品に交換する費用」を差し引いても、トータルの導入コストはFA-50より圧倒的に安く済む。国防予算が極端に少ない途上国からすれば、西側の高級なエンジンを1基メンテナンスし続けるよりも、中国製の安いエンジンを「使い捨て感覚」でサイクルさせる方が、財政的に現実的という歪な逆転現象が起きているのだった。
まとめ
JL-9 / FTC-2000のエンジンは、「中国のジェットエンジンは耐久性が短い」という評判通りの性能だ。
しかし、それは最新技術の失敗による短さではなく、「50年前の古い設計のまま、安さとシンプルさに特化して作られているから」という戦略的な短さで、「壊れにくいが、寿命が来たら丸ごと替える」という割り切った運用思想で成り立っているのが、中国製格安軽戦闘機の実態だった。