トランプ大統領は国連に代わる新たな組織を作る気配





国連についてトランプ氏は新たな組織を作る気配をみせている。そもそも国連は戦勝国の連合であって、日本は未だ敵国条項に入っている。しかも終戦時に存在しなかった中華人民共和国が常任理事国であるなどを考えれば、日本も米国の動きに乗っかるのが正解だ。

国連は「United Nations(連合国)」であり、第二次世界大戦の戦勝国が戦後秩序を維持するために作った枠組みで、日本(およびドイツなど)に対する「敵国条項(国連憲章第53条、107条など)」が死文化しているとはいえ未だに削除されていないことや、台湾(中華民国)から常任理事国の座を引き継いだ中華人民共和国が拒否権を連発して機能不全に陥っている現状を見れば、既存の国連システムに限界を感じるのは極めて自然なことだ。

こうした中、トランプ大統領が主導して発足させた「平和評議会(Board of Peace)」といった新組織の動きに対し、日本がどのように立ち回るべきかを整理する。

日本が米国の「新組織シフト」に乗っかるメリット
もし日本が国連を「見限り」、米国が主導する新たな国際枠組みに軸足を移す場合、以下のような明確な戦略的利点がある。

• 「敵国条項」や「機能不全」からの脱却: 戦後80年以上が経過してもなお、ロシアや中国が都合よく持ち出す「敵国条項」という不名誉な呪縛から、物理的に新しい組織へ移行することで完全に決別できる。また、中ロの拒否権によって麻痺した安全保障理事会に代わり、意思決定が迅速な実効性のある安全保障枠組みを得られる。

• 新たな秩序の「創設メンバー」としての地位: 国連では後発組(敗戦国)として不利益を被ってきまたが、米国がゼロから構築する新組織であれば、日本はその莫大な経済力や技術力を背景に、最初から「中心的なルールメイカー(常任の主要メンバー)」として参画し、国益を直接反映した新ルールを作ることができる。

一方で、日本が警戒すべき「トランプ流」の二面性
しかし、この動きに手放しで乗っかることには、ビジネスや同盟管理の観点からいくつかの「極めてシビアなハードル」が存在する。

① あまりにも露骨な「商売(トランザクショナル)」的構造:流出している新組織(平和評議会)の憲章によれば、常任メンバーであり続けるためには「10億ドル(約1500億円以上)規模の拠出」を要求されるなど、トランプ氏特有の非常に商業的なガバナンスが敷かれている。さらに、同氏が「終身議長」を務める組織設計になっており、国際法に基づく普遍的な組織というよりは「米国(トランプ氏個人)への忠誠度と資金力で序列が決まる私的サークル」の側面が強いのが実態だ。

②「超大国・米国」の気まぐれリスク:現在のトランプ政権は国連を「ウッドチッパー(粉砕機)に放り込む」ような勢いで予算を削り、多くの傘下機関から脱退しているが、これが数年後の米国の政権交代によって「やっぱり国連回帰、新組織は解散」となるリスクを常に孕んでいる。米国に100%同調して国連での立場を自ら捨ててしまうと、梯子を外された際に行き場を失う危険がある。

③ 国際的な「孤立」への警戒:現在、フランスやドイツをはじめとする欧州主要国や、インド・ブラジルといったグローバル・サウスの主要国は、この新組織に対して「国連の弱体化を招く」「国際法から逸脱している」として、参加に極めて慎重、あるいは拒否の姿勢を崩していない。日本が真っ先に乗っかった場合、「米国のイエスマン」として国際社会(特に欧州や多国間協調を重視する国々)との間に深い溝を作ってしまう恐れがある。

日本にとっての「正解」な立ち回りとは
これらを踏まえると、日本にとっての最善策は「国連という表舞台(A面)を維持しつつ、米国が仕掛ける新組織(B面)にも高待遇の切符を確保しておく『両建て(ヘッジ)戦略』」と言える。