新疆でのイスラム教徒弾圧で中国人がイスラム過激派の標的となっている





中国政府による新疆ウイグル自治区でのウイグル族をはじめとするイスラム教徒への弾圧(大量拘束、宗教活動の制限、強制不妊手術など)は、国際社会から「人道に対する罪」や「ジェノサイド」として非難を浴びている。

この問題は、国際的なイスラム過激派組織にとって格好のプロパガンダ材料(大義名分)となっており、近年、中国および中国人が「イスラムの敵(新たなジハードの標的)」として明確に位置づけられる現状が生まれている。

1.過激派組織による「反中プロパガンダ」の急増
かつて、イスラム過激派の主な標的は「アメリカを中心とする欧米諸国(遠くの敵)」や「中東の世俗派政権(近くの敵)」だった。しかし、ウイグル族への弾圧が広く知れ渡るにつれ、過激派組織は中国を「イスラムを迫害する国家」として激しく非難し始めている。

• ISKP(イスラム国ホラサン州)の台頭: アフガニスタンを拠点とするISILの過激派「ISKP」は、独自のウイグル語のメディアや機関誌を発行し、「中国の暴政を破壊せよ」とウイグル族の勧誘やテロの煽動を活発化させている。

• タリバン政権との対比利用: ISKPなどの過激派は、経済支援や投資(一帯一路構想)を期待して中国政府と融和路線を取るアフガニスタンのタリバン政権を「中国に魂を売った裏切り者」と批判し、自身を「ウイグル族の真の救済者」と位置づけることで支持を集めようとしている。

2.海外における中国関連ターゲットへの実害
中国国内は極めて強固な監視社会(ディストピア的監視網)であるため、過激派が国内でテロを起こすのは困難であり、そのためセキュリティの脆弱な第三国(特に南アジア・中央アジア・中東)に滞在する中国人や中国のインフラ投資プロジェクト(一帯一路の拠点)が現実の標的となっている。

3.ウイグル系ジハード組織と国際過激派の合流
かつて中国国内でテロを行っていたウイグル族の武装組織(TIPなど)は、中国政府の徹底的な掃討作戦により、拠点をアフガニスタンやシリアなどの国外へ移さざるを得なくなった。

これらの組織の本来の目的は「東トルキスタン(新疆)の独立」という民族主義的なものだったが、国外で孤立する中で、世界規模の聖戦(グローバル・ジハード)を掲げるISILやアルカイダ系組織と資金・人材面で結びつきを深める結果を招いている。これにより、ウイグル問題がローカルな紛争から、国際テロネットワーク全体の「反中シフト」へと昇華されてしまっている。

中国政府は「テロ対策(反テロリズム)」を大義名分として新疆での弾圧(再教育)を正当化してきたが、その過酷な人権侵害が逆にグローバルなイスラム過激派を大いに刺激し、海外にいる自国市民や権益を危険にさらすという、皮肉な安全保障上のブーメラン(ジレンマ)が生じているのが現在の実態だ。