イラン地下深部の巨大核開発施設の無効化は可能か


米国の保守系シンクタンク「民主主義防衛財団(FDD)」の核不拡散専門家であるアンドレア・ストリッカー(Andrea Stricker)氏をゲストに迎え、イランの最新の核開発動向について議論されているYoutube コンテンツで、イランの地下深部の巨大核開発施設の無効化について議論しているものがある。

その内容を要約すると。

1 . 地下要塞「Pickaxe Mountain(ピックアックス山)」とは

• 地下深部の巨大複合施設:コルンガズラ山(Kolang Gazla)の地下約300〜450フィート(約90〜135m以上)の花崗岩層内に建設されている巨大なトンネル施設。

• 遠心分離機の移送:Wall Street Journalの報道によると、イランは兵器級ウランの濃縮が可能な数千台の遠心分離機をこの地下施設に移送したとされている 。

• 建設の経緯:2020年にナタンズの地上遠心分離機組立施設が破壊された後、その代替施設として建設が開始された 。

• 空爆による破壊の困難さ:フォルドゥ(Fordo)の濃縮施設よりもさらに深部に位置するため、バンカーバスター(大型貫通爆弾)による空爆が効かない「破壊不可能な地下要塞」として懸念されてる 。

• 要塞化工事の継続:衛星画像解析により、トンネル入口のコンクリート補強や土砂・岩石による閉鎖など、爆撃に備えた防護工事が現在も進められていることが確認されている 。

2. イランの核開発の現況と打撃後の影響

• 軍事打撃や工作により、イランの主要なウラン変換能力や兵器化施設、主要な核科学者が排除され、イランの核兵器開発は数年単位で後退したと分析されている。

• 一方で、残存する遠心分離機や技術的知見をPickaxe Mountainに集約し、プログラムを再構築しようとする動きが警戒されている 。

3 . Pickaxe Mountainに対処・無力化するための選択肢

超深部にある施設を無力化するための手段として、以下の5つのアプローチが挙げられている。

① MOP(大型貫通爆弾)攻撃:通気口などを狙う手法だが、施設が深すぎるため完全破壊の効果は不透明。

② 出入口・インフラの封鎖・精密爆撃:トンネルの出入口や通気口、電力線・供給ルートを破壊し、物理的アクセスを遮断・封じ込める方法。

③ 地上部隊による地下突入(レイド):直接侵入して破壊・回収する手段だが、部隊の安全リスクが非常に高くなる

④ 戦術核兵器の使用非現実的・非推奨):NPT(核不拡散条約)体制を著しく破壊するため、容認できない選択肢とされている。

⑤ 化学物質による長期封鎖(非現実的・非推奨):化学兵器禁止条約(CWC)に違反し、極めて悪質な前例を作るため否定されている。

5. 今後の懸念と根本的課題

• 国外からの支援リスク:北朝鮮やロシアからの技術・兵器級ウランの供与、あるいはニジェールなどからの原料ウラン調達のリスクが懸念される。

• IAEA査察の制限:イランがIAEA(国際原子力機関)による査察受け入れを制限し続けていることが透明性確保の壁となっている。

• 根本的解決:外交や限定的な攻撃だけでなく、最終的にイランの核兵器保有リスクを永久に排除するには、イランの体制転換(Regime Change)や構造的変化が必要であると議論されている。

反トランプの左派系メディアと違い、親トランプの保守系シンクタンクの分析でも、現実的にはイランの地下要塞の破壊は困難というのが結論だった。