話題の国際刑事裁判所は米国のデーターベースを使っているので、これをロックされる可能性がある


米国のIT企業やOSへの依存はICC(国際刑事裁判所)にとって極めて深刻な脆弱性であり、実際にそのリスクが現実化したことを受けて、現在はオープンソース(OSS)への大規模な移行作業が進められているという。

1. 米国制裁によるシステム麻痺のリスク

2025年、米国政府によるICC高官(主任検察官や所長ら)への制裁措置に伴い、Microsoftが検察官のアカウントアクセスを制限・停止するなどのトラブルが発生した。米国法に従う民間企業に基盤を依存していると、米国の制裁によって裁判所の業務が停止しかねないという「デジタル主権」の危機が表面化した。

2. オープンソース(OSS)への移行と危機管理

こうした事態を受け、ICCは危機管理策として米国製ソフトウェアからの脱却を決定した。

• openDeskの導入:2025年10月、Microsoft Office等の代替として、ドイツのデジタル主権センター(ZenDiS)などが推進する欧州製オープンソース・オフィススイート「openDesk」への移行を発表した。

• 脱米国依存の推進:メールやドキュメント作成などの日常業務基盤を自前・オープンソース化することで、米国の差し押さえやサービス停止リスクを回避する動きを急速に強めている。

3. なぜこれまで依存が続いていたのか

• 国際機関のデファクトスタンダード:国連をはじめとする多くの国際司法機関・国際組織では、利便性やセキュリティ運用、外部組織との互換性からMicrosoftの商用エコシステムが長年標準として採用されてきた。

• 移行の難易度:単にデスクトップのOSをLinuxに変えるだけでなく、長年にわたり蓄積された膨大な証拠データ、機密情報、法廷記録の移行とセキュリティ担保には多大な時間と費用を必要とする。

4. 残された課題

日常のオフィスツール類はOSS化が進行しているものの、過去に構築された大規模な証拠管理データベースなど一部の基盤には、なお米国系インフラとの連携が残っていると指摘されている。完全に政治的圧力から独立したIT環境を確立できるかが、現在の重要な課題となっている。

ところでICCには自前でシステムを構築するだけの技術があるのか。

これについては続編にて。