中国は罰金で税金の代わりにする「以罰代税」という事を始めた





🔷なぜ「罰金」に頼るのか?(背景)
根本的な原因は、中国の地方政府が深刻な財政難に陥っていることにある。

• 不動産バブルの崩壊: これまで地方政府の最大の収入源は、開発業者に土地を売る(使用権を貸し出す)「土地出譲金」だった。しかし、不動産不況によってこの収入が激減した。

• 税収の伸び悩み: 景気の低迷により、本来の柱である増値税(日本の消費税に近いもの)や企業所得税などの税収が伸び悩んでいる。

• 巨額の債務: 過去のインフラ投資などで積み上がった地方政府の「隠れ債務」の返済期限が迫っており、背に腹は代えられない状況になっている。

税金(税収)が足りない地方政府が、手っ取り早く現金を回収できる「非税収入」、つまり違反の取り締まりによる罰金(罰没収入)に目をつけたのが実態だ。

🔷実際に行われている「理不尽な罰金」の例
地方の取り締まり機関(城管と呼ばれる都市管理官や、交通警察、市場監督管理局など)が、信じられないような理由で民間企業や個人に高額な罰金を科すケースが多発している。

• きゅうりの千切りで重罰: 上海などのレストランで「冷菜(冷やし中華や涼皮など)の調理許可を得ていないのに、料理の上にきゅうりの千切りを載せて提供した」として、5000元(約10万円)以上の高額な罰金が科され話題になった。

• トラック運転手への過酷な摘発: 貨物トラックの「過積載」や「衛生基準違反」を狙い、ルート上の地方自治体が次々と罰金を科すケースで、中には、出発地では規定内だったのに、通過する町ごとに異なる基準で言いがかりをつけられ、耐えかねた運転手が抗議の自殺を図るという悲劇も起きている。

• 電動自転車への一斉取り締まり: 中国全土で普及している電動自転車に対し、「ヘルメットの着用義務」「速度違反」「改造の疑い」などを理由に、網の目を張るような「罰金稼ぎ」の取り締まりが行われている。

これらは「趨利性執法(すうりせいしっぽう=利益誘導型の取り締まり)」と呼ばれ、取り締まる側の組織の予算や職員のボーナス、あるいは地方政府の財政の穴埋めに直結していると批判されている。

中央政府も危機感を強めている
この「罰款経済」は、ただでさえ苦しい中小企業や個人事業主の息の根を止め、民間経済の活力をさらに削ぐため、流石に北京の中央政府(国務院など)も強く問題視しているとも言われている。中央政府からは「合理的な理由のない乱暴な罰金や、財政収入を目的とした取り締まりを厳禁とする」という通達が何度も出されており、地方政府の行き過ぎた暴走を抑え込もうとする動きが続いているという。