イラン革命防衛隊がホルムズ海峡でシンガポール船籍の貨物船を攻撃


2026年6月25日にホルムズ海峡で、イラン革命防衛隊(IRGC)がシンガポール船籍の貨物船を攻撃する事件が発生した。

米国とイランの間で合意(覚書)が交わされ、海上輸送路の再開に向けて動き出した矢先の事件であり、国際社会に大きな衝撃を与えている。

🔷事件の概要
• 発生日時: 2026年6月25日 夜(現地時間)
• 対象船舶: シンガポール船籍のコンテナ貨物船「エバー・ラブリー(Ever Lovely)」(乗組員21名)
• 発生場所: ホルムズ海峡、オマーン沿岸のダヒト(Dahit)沖約7.5海里
• 攻撃手段: 米高官らの情報によると、革命防衛隊によるドローン(無人機)、または正体不明の発射体による攻撃。
• 被害状況: 船体右舷の船橋(ブリッジ・操舵室)が損傷。幸いにも死傷者は出ず、環境被害(油漏れなど)も報告されてない。船は自力で海峡の通過を完了した。

🔷事件の背景:イラン独自の「航路支配」の主張
この攻撃の数時間前、イランが設立した海峡管理機関(ペルシャ湾海峡管理局:PGSA)は、「イラン政府が承認していない航路(指定ルート外)を通る船舶の安全は保証しない。何かあっても自己責任だ」という警告をSNS等で発信していた。

事実、革命防衛隊は同日にパナマ船籍の商船などに対してもルート変更を命じていた。攻撃を受けた「エバー・ラブリー」は、100日以上もペルシャ湾内に足止めされた後に、国際海事機関(IMO)の定めたルート(オマーン側ルート)に従って航行していたが、イラン側からは「未承認の危険な航路」を走っているとみなされ、事前の無線警告もなしに見せしめ的に攻撃されたとみられている。

🔷 国際社会・市場への影響と反発
① 国連(IMO)の船舶退避作戦が一時停止
米イの暫定合意を受け、国連の国際海事機関(IMO)はペルシャ湾内に取り残されていた約600隻の商船、1万1,000人以上の船員を安全に退避させる大規模な運用を開始したばかりだった。しかし、この安全なはずのルート上で攻撃が起きたため、ドミンゲス事務局長は「船員の安全第一」として退避計画の一時停止を余儀なくされた。

② 米イ暫定合意への重大な挑戦
米国(トランプ政権)とイランは、米国がイランの港湾封鎖を解除し原油のドル建て決済を認める見返りに、イランが海峡の安全を確保するという「60日間の敵対行為停止合意」を結んだばかりだった。今回の攻撃は、この合意を早くも揺るがす重大な違反行為として米政府内で問題視されている。

③ 原油市場・関係国の反応
• 原油価格の急騰: 一時は海峡の通航量が急回復し原油価格も下落傾向にあったが、この事件を受けて再び不透明感が強まり、原油先物価格は2%以上ジャンピング(急騰)した。

• シンガポール当局の非難: シンガポール海事港湾庁(MPA)は、「挑発的で正当化できず、国際法(国連海洋法条約)に違反する行為だ」と強い懸念と非難を表明している。

経済制裁解除のメリットを享受したいイラン政府(外交・経済部門)の意向に対し、海峡の通行料(通航税)徴収の権利や主権を誇示したい革命防衛隊(強硬派)が、実力行使で合意に揺さぶりをかけている構図が浮き彫りになっている。

早くもこんな状況で、果たして合意に到達する事があるのだろうか。今のところ米国は大きなアクションを見せていないが、米国の今までの行動からして、ある限度を超えると突然の大規模攻撃に出ることは十分にあるだろう。