中国の不動産株2年前の政府による大規模景気刺激策以前の水準まで急落


中国の不動産株は、2024年9月に打ち出された政府の大規模な景気刺激策(通称「金融大緩和・ウルトラ対策」)による上昇分をすべて帳消しにし、当時の水準以下へと急落している。

🔷現状:刺激策の「貯金」を使い果たした不動産株
2024年9月、中国政府が発表した利下げ、頭金比率の引き下げ、株式市場への流動性供給といった一連のサプライズ対策により、不動産株は一時歴史的な爆発級の高騰を見せた。

しかし、その後は実体経済の回復が伴わず、株価は下落の一途をたどっている。主要なデベロッパー(融創中国や世茂集団、万科企業など)の株価は軒並み急落し、当時の大相場が始まる前の「どん底の水準」へと逆戻り、あるいはそれを下回る状況に陥っている。

🔷株価急落をもたらした3つの構造的要因
一時的な株高が持続しなかった背景には、市場の予想を超える「実体経済の冷え込み」がある。

① 住宅価格の下落加速(底打ちの兆しが見えない)
国家統計局が発表する主要都市の新築・中古住宅価格は依然として前月比での下落が続いており、一部では下げ幅が拡大している。

• 地方都市(3級・4級都市)を中心に供給過剰感が根強く、価格下落の圧力が続いている。

• 「待っていればもっと安くなる」という買い手側の心理(デフレマインド)が定着し、値下がりスパイラルから抜け出せていない。

② 長引く販売不振と消費者のマインド冷え込み
購入規制の緩和やローン金利の引き下げを行っても、肝心の「家が売れない」状態が続いている。

• 新築から中古市場へのシフト: デベロッパーの資金繰り悪化(破綻リスク)を恐れる消費者が、未完成リスクのある新築を避け、すぐに住める中古物件を選ぶ傾向が強まっている。

• 雇用・所得不安: 将来的な経済不安から、若年層を中心に「人生最大の買い物」である住宅購入や長期ローンを組むことに極めて慎重になっている。

③ デベロッパーの深刻な資金難と業績悪化
販売が振るわないため、大手デベロッパーのキャッシュイン(現金収入)が完全に枯渇している。

• 直近の決算でも巨額の最終赤字を計上する企業が目立ち、業績の「底打ち」が見えない。

• かつての優良企業であった「万科企業(China Vanke)」クラスですら大幅な赤字に転落するなど、不動産業界全体の信用不安が一段と深まっている。

🔷政府の政策スタンスの変化
投資家が失望しているもう一つの要因は、政府が「かつてのような強烈な不動産救済策」をあえて打たないという姿勢を見せている点だ。

中国政府は現在、不動産主導の「質の低いGDP成長」から脱却し、EVや半導体、AIといった「新質生産力(ハイテク製造業)」への経済シフトを進めている。 そのため、現在の不動産政策は「市場を無理に反転させてバブルを再燃させる」ことではなく、「これ以上の連鎖破綻を防ぎ、建設途中の物件を完成させる(保交楼)」という「痛みを伴う軟着陸(コントロールされた調整)」に主眼が置かれている。

まとめ
現在の構図: 政府の対策は「延命治療(流動性の確保)」にはなっても、「根本的な需要の喚起(家を買いたい人を増やす)」には至っていない。

市場では、一連の在庫処分(売れ残り物件を地方政府が買い取って公営住宅にする方針など)が進むには膨大な時間と資金が必要と試算されており、不動産市場全体が本当の意味で底打ちするのは2027年以降になるのではないか、との見方が強まっている。この「期待と現実のギャップ」が、不動産株の容赦ない売り浴びせにつながっている。