日本からフィリピンへの防衛装備品の提供・輸出が急速に具体化


日本政府は防衛装備移転三原則とその運用指針の改定(「5類型」)の撤廃など、殺傷能力のある完成品の輸出容認)を踏まえ、南シナ海で中国との緊張が高まるフィリピンとの防衛協力を急速に加速させている。

これまでの実績と、直近(2026年5月時点)の具体的な供与・輸出に向けた政府間協議の状況を以下に整理した。

1.これまでの実績(警戒管制レーダーの輸出)
日本にとって、2014年の防衛装備移転三原則策定後、「初の国産完成装備品の輸出」となったのがフィリピン向けの防衛レーダーだ。

• 内容: 三菱電機製の警戒管制レーダー(固定式3機、移動式1機、計4機/約140億円)の納入契約。

• 現状: すでに2023年末に1号機がフィリピン北西部の空軍基地に納入・設置され、南シナ海(スカボロー礁周辺など)の監視体制強化に運用されている。また、政府の「政府安全保障能力強化支援(OSA)」枠組みを活用した沿岸監視レーダーの無償供与も決定・推進されている。

2.現在進行中の政府間協議(護衛艦・ミサイル等の供与検討)
2026年5月、小泉防衛大臣がフィリピンを訪問し、テオドロ国防相との会談で大きな進展があった。防衛装備移転三原則の改定後、殺傷能力を持つ「完成品」の具体的な輸出・供与に向けた初の本格協議が始まっている。

① 海上自衛隊「あぶくま型護衛艦」等の輸出協議

• 内容: 海上自衛隊の中古の「あぶくま型護衛艦」を含む防衛装備品のフィリピンへの輸出に向け、具体的な実務協議を行う「作業部会(協議体)」の設置で合意した。

• 意義: 正式に決定すれば、改定された三原則のもとで「殺傷能力のある艦船(完成品)」を他国へ輸出する初の事例となる可能性がある。

② ミサイル等の供与・融通に向けた連携
• 背景: 日米比、あるいは日米豪比の多国間枠組みとも連動し、フィリピン軍の防衛力・抑止力を底上げする協議が進んでいる。

• 現状: 両国間では「円滑化協定(RAA)」の発効や「物品役務相互提供協定(ACSA)」の署名など、自衛隊とフィリピン軍が現地で共同訓練や補給をスムーズに行うための法的基盤が整備された。これにより、装備品(ミサイル防空システムや弾薬等も含む)の将来的な運用の融通や、教育体制・維持整備の支援を含めた包括的な防衛協力体制の構築に向けた話し合いが進められている。

背景にある狙い
南シナ海において、中国によるフィリピン船舶への放水銃照射など「力による一方的な現状変更の試み」が激化している。日本政府としては、フィリピンの海洋監視能力や防衛力を直接的に高めることで、日本周辺(東シナ海・尖閣諸島周辺)をも見据えた地域全体の抑止力を維持・向上させる明確な意図がある。

加えて、F-2戦闘機と03式中距離地対空誘導弾の話もでている。

これについては後編にて