膨大な文系・理系学部を持つ、日大、東海大にDS学部が無いのは何故か





データサイエンス(DS)学部の主流である中堅クラスで、膨大な文系・理系学部を持つ、日大、東海大にDS学部が無いのは何故だろうか。

日本最大級の規模を誇る日本大学(日大)や東海大学は、文系から理系、医学・海洋・航空にいたるまであらゆる学問を網羅する「総合大学の巨人」にも関らず、トレンドである「データサイエンス学部」という独立した専門学部を作らないのには、実はマンモス総合大学ならではの明確な理由と構造があるようだ。

1.独立した学部を作らなくても、すでに「中身」が各学部にある
中堅未満の単科大学や小規模な大学が「DS学部」を新設するのは、学内にデジタルや統計の専門家が少ないため、新しい箱(学部)を作って先生を集める必要があるからだ。

しかし、日大や東海大のような巨大大学は、「新しく作らなくても、すでに持っている」状態なのだった。

• 日本大学の場合
◦ 文理学部: 数学・情報科学科があり、データ解析の基礎はここで完璧に学べる。
◦ 経済学部・商学部: すでに「金融公共経済学科」や「経営学科」の中に、ビッグデータ分析やマーケティングデータに特化したゼミやコースが組み込まれている。
◦ 理工学部・生産工学部・工学部: AIやプログラミングのガチガチの専門家が何百人も在籍している。

• 東海大学の場合
◦ 情報通信学部・情報理工学部: デジタル技術の塊のような学部がすでに存在する。
◦ 政治経済学部・経営学部: ビジネスデータ分析の講義が普通に用意されている。

これほど巨大だと、わざわざ莫大な予算をかけて「DS学部」という新しい建物を建てて利害調整をするよりも、「それぞれの学部の中で、時代のニーズに合わせてデータサイエンスの授業を増やせばいい」という発想(既存学部のアップデート)になる。

2.全学共通の「数理・データサイエンス・AI教育プログラム」の存在
現在、文部科学省は大学に対し、学部を新設することよりも「文系理系問わず、全学生にデータサイエンスを教えること」を強く推奨している。

日大や東海大は、この「全学一斉教育」に力を入れている。
• 日大の「N.データサイエンスプログラム」: 法学部(文系)の学生であっても、理工学部の学生であっても、全学の希望者がデータサイエンスの基礎から応用までをオンラインや副専攻の形で学び、政府認定の修了証をもらえる仕組みを作っている。

• 東海大の「数理・データサイエンス・AI教育プログラム」:
こちらも全学部(文系・医療系含む)の学生を対象に、リテラシーレベルからビジネス応用までをカバーする全学共通カリキュラムを整備している。

つまり、「〇〇学部データサイエンス学科」という狭い枠に閉じ込めるのではなく、「法学部×データサイエンス」「文学部×データサイエンス」という掛け算の強みを持つ学生を何万人も大量生産する戦略をとっているだった。

3.「専門特化」よりも「スケールメリット(規模の大きさ)」で勝てる
中堅未満の大学が「DS学部」を設置するのは、「普通の中小企業の総合職」では戦えないため、明確な技術の看板を持たせるためだった。 一方で、日大や東海大クラスになると、「OB・OGのネットワーク(学閥)」と「圧倒的な求人数」という最大の武器が最初からある。

【中堅単科大学 vs 巨大総合大学の戦略違い】
◆中堅・単科大学(生き残り戦略)
「知名度が低いから、尖った『DS学部』の看板を出して地域の中小企業にアピールしよう!」

◆日大・東海大(スケールメリット戦略)
「日本中に何十万人もいる卒業生のネットワークがある。 企業側も『日大・東海大のガッツがある文系で、ちょっとITも分かる学生』
を喜んで採用してくれるから、無理に尖った新学部を作る必要がない」

まとめ巨大すぎて動かないのではなく、動く必要がない
受験生や保護者からすると「トレンドの学部がない=時代遅れ」に見えるかもしれないが、日大や東海大の実情は「既存の巨大なインフラ(各学部や全学プログラム)の中で、すでにデータサイエンス教育を十分に吸収できているから、わざわざ新学部を作るコストを払う必要がない」というのがリアルなところのようだ。