米国訪中団、滞在中に現地側から受け取ったすべての物品を廃棄





トランプ大統領の訪中時に同行した米国代表団や報道陣が、中国側から受け取った記念品などの物品を大統領専用機(エアフォース・ワン)への搭乗前にすべてゴミ箱へ廃棄したという出来事が話題になっている。

2026年5月中旬、ドナルド・トランプ米大統領の中国・北京訪問の最終日に発生したこの出来事は、表面上の友好的な首脳会談の裏にある米中間の根深い不信感と、徹底した情報セキュリティー(対スパイ・諜報対策)を象徴するエピソードとして世界中で大きな話題となった。

1.出来事の概要と現場の状況
トランプ大統領と習近平国家主席による2日間の高官級会談が終了した2026年5月15日(金曜日)、北京首都国際空港で大統領専用機(エアフォース・ワン)が出発する直前にそれは起こった。

• 廃棄の指示: ホワイトハウスのスタッフやシークレットサービス(大統領警護隊)は、同行した米国政府代表団のメンバー、大統領側近、および同行した米報道陣(プレスプール)に対し、中国滞在中に現地側から受け取ったすべての物品を提出・廃棄するよう厳格な命令を下した。

• ゴミ箱への一斉廃棄: エアフォース・ワンの搭乗タラップ(階段)のすぐ下に大きなゴミ箱が設置され、対象となる物品が次々とその場で投げ捨てられた。

• 現場の証言: 同行していたニューヨーク・ポスト紙のホワイトハウス特派員エミリー・グディン(Emily Goodin)氏は、自身のX(旧Twitter)に次のように投稿し、この徹底ぶりを伝えている。


2.廃棄された主な物品
機内への持ち込みが完全に禁止され、ゴミ箱に捨てられたのは以下のような物品だった。
• 中国側が発行したプレス用の記者証や各種IDバッジ
• 記念用のラペルピンやバッジ
• 中国側から贈られたギフトや記念品(土産物)
• 使い捨て携帯電話(バーナーフォン): 米側スタッフが中国国内での通信用に一時的に使用していたもの
• その他、中国側から支給または提供された電子機器の付属品や小物類

3.なぜここまで徹底した対策をとったのか?
公の場ではトランプ大統領と習近平国家主席が握手を交わし、訪問の成功や関係強化がアピールされていたが、水面下では米国のインテリジェンス(情報機関)による極めて厳格なカウンター・インテリジェンス(対スパイ活動)プロトコルが作動していた。

① 盗聴・マルウェア・位置追跡の排除
米国防総省や情報機関は、中国の諜報技術を極めて警戒している。一般的な記念品、バッジ、衣服のボタン、充電器、さらには一見何の変哲もない記念の品であっても、極小の盗聴チップや位置追跡デバイス、あるいは機内の無線ネットワークに侵入するためのマルウェア(悪意あるプログラム)が仕込まれているリスクが現実的に存在するからだ。

② 「エアフォース・ワン」という聖域の防衛
大統領専用機であるエアフォース・ワンは、移動する「空中ホワイトハウス」であり、国家機密や軍事コマンドを扱う最重要のセキュリティー空間となっている。万が一にも、機内に中国製のデバイスやチップが持ち込まれ、機内の最高機密通信が傍受されたり、システムがハッキングされたりする事態は、国家安全保障上の致命傷になる。そのため、「米国の領空に入る前」どころか、「機体に1歩でも足を踏み入れる前(タラップの下)」で完全にシャットアウトする必要があった。

③ 訪問中の舞台裏での緊張感
報道によると、この2日間の訪中期間中、米中のセキュリティーチームや当局間で激しい摩擦があったことも背景にある。例えば、北京の天壇公社を訪問した際、米国のシークレットサービスが標準プロトコルに従って武器を携帯していたところ、中国側の治安当局に入場を拒否され、メディアの入場が90分近く遅れるといったトラブルが発生していた。こうした現場レベルでの緊迫感と不信感の強さが、出発前の「一切の持ち込み禁止」という妥協のないルールに直結したとみられている。

この出来事は、外交的な「親密な演出」という虚像と、サイバー戦争・諜報戦における「1ミリの隙も許さない」という冷徹な安全保障の現実のギャップを浮き彫りにした象徴的な一幕となった。