海底ケーブルの切断や探査といった脅威に対し、台湾や日本、米国はどのような防護策や通信の代替手段を進めているのだろうか。
国際データ通信の約99%を担う海底ケーブルは、現代の経済や軍事指揮系統の「アキレス腱」となっている。中国の調査船による探査や、漁船・商船を装った錨(いかり)の引きずりによる物理的切断などの「グレーゾーン攻撃」に対し、台湾・日本・米国はそれぞれ法整備、物理的防護、サプライチェーンからの排除、そして衛星等による代替通信網(冗長性)の確保を急速に進めている。

1. 台湾:有事の「通信孤立」を防ぐ多層的バックアップと厳罰化
2023年に離島・馬祖列島を結ぶケーブルが相次いで切断され約50日間通信が麻痺した事案などを教訓に、デジタル発展部(MODA)や海巡署(海上保安庁に相当)主導で実戦的な「デジタル・レジリエンス(強靱化)」を構築している。

2. 日本:「民間任せ」からの脱却と自前の敷設・保守能力の確保
れまで日本では海底ケーブルの敷設・管理は通信事業者などの民間に委ねられてきたが、経済安全保障上の重要インフラとして国主導で防護・支援する体制へと大きく舵を切っている。

3. 米国および同盟国連携:中国企業のサプライチェーン排除と共同防衛
米国は、物理的な切断だけでなく「ケーブルの保守や機器を通じた通信傍受(盗聴)・サイバー攻撃」を重大な脅威とみなし、サプライチェーンからの中国排除を徹底している。

3か国の対策アプローチの比較

物理的な海底ケーブルは、ひとたび切断されると敷設船が現場に到着して引き揚げ・融着修理を行うまでに早くても2〜3週間、海域や気象条件、さらには他国との管轄権問題が絡めば数か月を要する。そのため、「いかに切らせないか(監視と抑止)」「切られた際に衛星や別ルートでいかに即座に通信を迂回させるか」「自国の船でいかに早く直せるか」の3点が、現在の安全保障上の最前線となっている。