ホルムズ海峡を通過する原油・石油製品は戦争前の80%弱まで回復


船舶追跡データ企業Kplerの最新分析によると、ホルムズ海峡を通過する原油および石油製品の輸送量は1日平均約1,310万バレルまで増加し、紛争発生前の水準に対し約8割(80%弱)まで回復している。現状の主な背景と課題は以下の通り。

1. 流量回復の主な背景

• 米海軍および湾岸産油国による安全確保:米軍や有志諸国による護衛・安全確保作戦が進み、海峡を通航するタンカーの保護体制が一定程度機能している。

• 湾岸国の供給維持姿勢:サウジアラビアなどの湾岸産油国が、地政学的リスクやイランからの威嚇の中で出荷を継続しており、大規模な輸出ラインを確保している。

• 迂回ルートや航行工夫:一部地域での代替パイプライン活用や、リスク回避・自動識別装置(AIS)の制御等を伴う警戒航行(いわゆる闇タンカーなどの動きを含む)によって出荷網が維持されている。

2. 残る懸念と市場への影響

• 精製石油製品の供給偏り:原油の海上流量自体は大幅に回復しているものの、ガソリンやジェット燃料をはじめとする「精製製品」の供給・出荷には依然として一部制約が残っている。

• 保険料と運賃の高止まり:封鎖・攻撃リスクに対する警戒感から船舶保険料や海上運搬コストが高水準で推移しており、世界的なエネルギー価格の完全な安定化には至っていない。

• 地政学的制約:海峡周辺における制圧権や不測の衝突リスクは完全には払拭されておらず、政情や安全保障上の交渉推移に依存した不安定な状況が続いている。

市場関係者の間では、米軍による通航支援などの効果で「最悪の途絶シナリオ」は回避されつつあると見られているものの、燃料価格の本格的な沈静化には精製能力や保険コストを含めた環境の改善が必要とされている。

このように周辺産油国の流量は大幅に回復しているのに対して、イランは戦前の約30%まで落ち込んでいる。

イランの原油輸出に関する現状

  • 大幅な輸出激減:戦前に日量約185万バレルあったイランの原油輸出量は、米軍の海上阻止作戦や制裁強化の影響を受けて日量約56万〜60万バレル程度(戦前の約30%)にまで落ち込んでいる。
  • 湾岸アラブ諸国との対照:RFERL等の分析によれば、有志国の有事護衛や迂回パイプラインを活用して地域全体の輸出を戦前の9割超まで回復させている他国に対し、イラン側の海上積出施設(ハルグ島など)は非常に厳しい制限を受けている。
  • 代替手段の制限:イランはオマーン湾沿岸での直接積出やカスピ海ルート、陸路(鉄道)での輸送などを模索しているが、従来の大型タンカーによる海上輸出量を補うには至っていない。
  • 貯蔵限界と減産リスク:輸出の滞留によってイラン国内の原油貯蔵施設が満杯に近づいており、油田の減産・一時封鎖を余儀なくされるなど、中長期的な石油生産設備への悪影響も指摘されている。

このように、「ホルムズ海峡を通るエネルギー全体」は回復基調にあるものの、イラン自身の石油輸出は戦前の3割程度という深刻な低迷状態が続いている。

という事は米国の作戦は成功しているということだが、例によって日本のマスコミはこの事実を殆ど報道していない。