偏差値貧困ビジネスとも言えるエンタメ系の専門学校に入学する生徒の親はどういう気持ちなのだろうか。考えられる3つのタイプ別に分析してみる。
1. 「下手な大学より良い」と真面目に信じている(信奉・肯定型)

親自身が大学受験や高等教育の構造に詳しくない場合(高卒の親や、地方で情報が限られている場合など)に多く見られる。
• 背景と心理:
◦ 「大学に行っても遊ぶだけ」「これからは手に職の時代」「就職率100%」といった専門学校側のキャッチコピーをストレートに受け止める。
◦ 「名前だけのFランク大学で4年間と数百万円を費やすより、2年間で実用的な資格や技術を取って早く社会に出る方が賢い選択だ」と、むしろ非常に合理的で親孝行な選択をしていると誇らしく思っているケースすらある。
• 要因:学校側の体験入学での手厚い接客や綺麗な施設、巧みな広報戦略(実際の数字のトリックなど)をそのまま信用してしまう情報リテラシーの非対称性が原因となる。
2. 不本意だが現実をみて仕方ないと納得する(消極的容認・妥協型)

実状として最もボリュームが大きいとされるのがこのパターンだ。
• 背景と心理:
◦ 「子供の学力や意欲ではまともな大学に行けない」「浪人させても伸びないし、その経済的余力もない」という現実を直視した結果。
◦ 親の本音としては「高額な学費に見合う教育なのか」という疑問や不満を抱えつつも、「高校卒業後に無職やフリーター(ニート)になるよりは、どこでもいいから『学生』という身分を維持して就職活動をしてほしい」という危機回避・防衛本能から妥協する。
• 要因:学費は事実上の「2年間の身分保証料」や「世間体・安心感の購入費用」として割り切って支払っている状態だ。
3. 必死で止めたが子供がどうしても聞かなかった(葛藤・折衷型)

特にアニメ・ゲーム・声優・デザイン・ペットなどの「夢」を売りにするエンタメ・クリエイティブ系専門学校で頻発するパターンだ。
• 背景と心理:
◦ 親は世間の厳しさや業界の過酷さ、学費の高さ(そして卒業後に業界で食べていける確率の低さ)を知っているため、「現実を見なさい」「普通に就職しなさい」と説得を試みる。
◦ しかし、子供が「ここに行けないなら高校を卒業しても働かない」「夢を諦めさせたら親を恨む」など強い態度に出た際、引きこもりや親子関係の破綻を恐れて最終的に親が折れることになる。
• 要因:「本人がそこまで言うなら、若いうちに一度痛い目を見ても自己責任」「何もせずに後悔させるよりは」という諦めと親心の間で揺れ動いた結果の入学といえる。
根底にある共通の心理と社会的背景

これら3つの心理に共通しているのは、「高校卒業後のキャリア支援を親や個人だけで背負いきれない」という限界と、社会的な「無業者リスクへの恐怖」だ。
いわゆるビジネス型の専門学校は、この「親の不安」や「情報格差」を緻密にリサーチした上で広報設計を行っている。そのため、親の心理は「純粋な期待(1)」「消極的な諦め(2)」「子供への譲歩(3)」のいずれかに分類され、どれも現代の教育格差・情報格差の中で必然的に生じている現実と言える。