英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は、2026年5月14〜15日に北京で行われた米中首脳会談において、中国の習近平国家主席が日本の「再軍備化」や高市早苗首相を名指しして声を荒らげ、それが会談内で「最も緊迫した場面」だったと報じた。
主な内容は以下の通り。

1. 会談で「最も緊迫した場面」
協議の最中、中国の習近平国家主席が日本の高市早苗首相を名指しし、日本の防衛力強化や「再軍備化」の動きに対して声を荒らげて激高した場面があり、これが会談全体を通じた「最も緊迫した瞬間」であったと複数の交渉関係者の話として伝えた。
2. 習近平氏が主張・問題視した背景
• 日本の安全保障政策・「再軍備化」への激しい反発:習主席は、高市政権下で進められる防衛予算の増額、防衛装備品(武器)の輸出規制緩和、核政策見直し可能性に関する示唆、および台湾情勢を巡る日本の姿勢や発言を強く問題視した。
• 個人名指しでの批判:これら日本の動向を「再軍備化」と批判した上で、高市首相個人に直接言及しながら強い憤りと不満を表明したとされている。
3. 米国側(トランプ大統領)の応答
• 地域脅威への対処としての釈明:トランプ大統領は、高市首相が厳しい防衛姿勢をとっているのは、主に北朝鮮の核・ミサイル活動をはじめとする地域的な軍事的脅威に対応するためであると反論・説明を行った。
4. 報道への影響と各国の反応
• 中国側の否定:このFT紙の報道に対し、中国外務省は「習主席が声を荒らげた」などの報道内容を公式に否定した。
• 米中日関係の緊張の浮き彫り:公式な否定があったものの、米中トップによる対決的なテーマの中で日本の安全保障政策や防衛費拡大の議論が極めて重要な焦点であったことが示される形となった。
中国政府が対日姿勢や安全保障政策において、ここまで高市早苗氏を強く警戒・反発する背景には、主に以下の理由がある。

1. 台湾問題への踏み込んだ関与(「存立危機事態」言及)
中国にとって台湾問題は「核心的利益の中の核心」であり、外部勢力の介入を最も拒絶する領域だ。 高市氏は「台湾有事(中国による台湾への武力行使や海上封鎖)が発生した場合、日本の集団的自衛権を行使できる『存立危機事態』に該当し得る」との立場を明確に示している。中国側はこれを、自国の台湾統一シナリオに対する日米の軍事介入の示唆・内政干渉として極めて重く受け止めている。
2. 防衛力の劇的強化と「再軍備化」への懸念
高市氏は、以下のような積極的な安全保障政策を一貫して主張・推進している。
• 防衛費増額(対GDP比2%水準の早期定着)
• 反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有・強化
• 防衛装備移転三原則の緩和(装備品・武器輸出の解禁拡大)
• 憲法9条改正および自衛隊の明記
中国はこれらの政策を「日本の再軍備化」や「戦後平和主義からの転換」と批判し、自国に対する軍事的抑止力が飛躍的に高まることを警戒している。
3. 歴史認識と靖国神社参拝
高市氏は日本の伝統的保守派を代表する政治家であり、閣僚就任中も靖国神社参拝を継続してきた。 中国政府は歴史認識(過去の戦争に対する評価や戦後国際秩序)を対日外交における重要な主導権カードと位置づけており、高市氏の姿勢を「戦後秩序への挑戦」「軍国主義の対外アピール」として強く牽制・非難の対象としている。
4. 経済安全保障による脱中国依存のリード
経済安全保障担当相時代から、先端技術の中国への流出防止、セキュリティ・クリアランス(安全保障適性評価)制度の導入、重要物資やサプライチェーンにおける「脱中国(デリスク)」を強く主導してきた。 これにより、中国が強みとしてきた(経済的威圧)による対日揺さぶりが効かなくなることを恐れている。
5. 日米同盟の強固化と対中包囲網の深化
日米安全保障体制をさらに深め、QUAD(日米豪印)などを通じて対中包囲網を強固にすることを重視する高市氏の外交・安全保障路線は、東アジアでの影響力拡大を狙う中国の戦略にとって直接的な障壁となっている。
中国側にとっては、「自国の軍事・経済外交に対して対抗措置を辞さない、最も明確な姿勢を示す日本のリーダー」である点が最大の警戒理由となっている。