ホルムズ海峡 米軍等による「護衛・安全確保作戦」と「自動識別装置の制御等」を伴う警戒航行の現状


米軍や有志諸国による「護衛・安全確保作戦」と「自動識別装置(AIS)の制御等を伴う警戒航行」は、ホルムズ海峡周辺でのミサイル・ドローン攻撃や船舶拿捕(捕獲)のリスクを抑えつつ、エネルギー輸送網を維持するための軍民連携措置だ。

1. 米軍や有志諸国による護衛・安全確保作戦

米中央軍(CENTCOM)や有志連合(IMSC等)が中心となり、以下のような支援を実施している。

・安全回廊(レーン)の設定と哨戒:危険海域内に指定した「安全航路」を設け、イージス艦などの護衛艦、哨戒機、無人機(ドローン)で周辺の空海域を常時監視する。

・水面下での直接通航ガイダンス:物理的な艦隊護衛(コンボイ)だけでなく、無線通信等を通じて個別の民間商船に対し安全な航行ルートや通過タイミングを直接指示・案内している。

・雷除去と防空・対舟艇警戒:機雷の敷設に対する探知・除去作業や、高速艇・巡航ミサイル・無人機からの防空体制を敷き、即応できる状態を維持している。

2. 自動識別装置(AIS)の制御と警戒航行

AIS(Automatic Identification System)は本来、衝突防止のために自船の位置・コース・速度を周囲に電波で発信する装置だが、有事においては敵対勢力(イラン側など)に位置を特定される標的化リスクとなる。

・AISの停止(ダーク航行):遠隔攻撃用ミサイルやドローンによる目標固定を回避するため、危険海域を通過する商船が意図的にAIS送信をオフにして航行する。

• 米軍主導による目視・レーダー誘導:AISを切った状態の船舶に対し、米軍側が軍用レーダーや暗号化通信で位置を把握・安全確認を行いながら手引きする(実際に多数の商船がこの方式で通過した事例が確認されている)。

• 戦略的なAIS制御(シグナリング):護衛艦自身が抑止力を示す目的であえてAISを点灯させて航行したり、危険海域内のみ特定座標でオン/オフを切り替えるといった運用も行われている。

3. 運用上の課題

• 衝突リスクの上昇:AISをオフにすることで他船の動向が自動把握できなくなるため、船舶同士の視界不良時や過密海域における接触リスクが増加し、船上レーダー頼みの厳しい警戒が必要となる。

• 国際規範との兼ね合い:本来はSOLAS条約等の航行安全規定で原則点灯が求められるが、緊急避難的な自己防衛措置として暗黙的に運用されている。

このような作戦支援と機密性の高い航行情報制御を組み合わせることで、リスクを制御しながら海上交通量を回復させている。