中国のEVメーカーによる品質テストの回数偽装


中国のEV(電気自動車・新エネルギー車)業界では、新車の開発期間を極端に短縮する「速成車(突貫開発車)」の増加に伴い、実車による品質・耐久テストの回数を大幅に削減したりシミュレーションで代用したりする実態が相次いで報じられている。2026年8月から10月にかけて、国営メディアによる具体的なテスト削減事例の暴露や高級EVの制動テストでの破損騒動が重なり、中国政府が規制強化に乗り出す事態へと発展している。

なお簡略版は⇒【中国のEVメーカー、品質テストの回数偽装】

報じられている主な事例と関連騒動

品質テストの回数削減・省略や、検証不足が疑われる問題として、主に3つの事案が注目を集めている。

• ドアハンドル耐久試験の8割をシミュレーションで代用(人民日報系メディア等の報道)
新車開発の期間短縮を急ぐあまり、実車での過酷な耐久試験を省くケースが指摘されている。人民日報系メディアなどの報道によると、ある中国のEVメーカーは新車のドアハンドル耐久試験において、本来必要な1万回のテストのうち実物で実施したのはわずか2,000回にとどめ、残りの8,000回(全体の80%)をコンピューター上のシミュレーションに置き換えて済ませていたことが明らかにされた。

• ファーウェイ系高級EV「尊界 V800」のブレーキペダル破損騒動(2026年10月)
中国の自動車メディア「懂車帝(ドンチェディ)」が2026年10月8日に公開した緊急制動テスト(時速100kmから停止までの連続テスト)において、ファーウェイと江淮汽車(JAC)が共同展開する高級EVブランド「尊界(Maextro)」のMPV「V800」(価格約76.6万〜101.6万元)が、テストした3台すべてでブレーキペダルの取付ブラケット(支持部)が破断するという結果が出た。

テスト動画やメーカー側の声明がSNS上から相次いで削除されたこともあり、「検証不足のまま発売されたのではないか」と大きな波紋を呼んだ。

• 当局の抜き打ち検査による「生産一致性」違反の指摘とSNSでの内部告発(2026年8月〜9月)
2026年8月末には、中国の工業情報化部(工信部)が「届出された仕様通りに量産されているか(生産一致性)」の監督検査結果を公表し、BYDのPHEV「秦L DM-i」(充電維持モードの燃費が申告値と不一致)や吉利汽車のEV「星願」(ホイールベースの実測値と届出値のズレが許容範囲の1%超)など計7車種を名指しで指摘した。また9月には、SNS上で大手メーカー社員を名乗るアカウントから「納期優先で部品の受け入れ品質検査を縮小・廃止した」といった内部告発(真偽は未確認)が拡散されるなど、品質管理体制への懸念が広がっている。

背景にある「速成車」問題と開発期間の短縮

一連のテスト省略・検証不足の背景には、中国EV市場における熾烈な価格競争と、スマートフォンや家電製品のようなスピード感で新車を投入する開発体制がある。

業界関係者の証言として、「他社の売れている車を模倣し、半年〜1年半ほどで仕上げるよう求められるため、実車でじっくり作り込む余裕がない」という現場の実態も報じられている。

中国政府による規制強化(「二冬一夏」試験の義務化案)

「速成車」による安全性の問題を重く見た中国の工業情報化部など4部門は、2026年10月10日、新車の設計・開発時における検証を大幅に強化する通知案(意見募集稿)を公表した。

1. 「二冬一夏」環境適応性試験の義務化
シミュレーションだけで実車テストを代替することを防ぐため、検証期間を最低1年以上とし、厳冬期2回と酷暑期1回をまたいで寒冷地と高温地で実際にテストを行う「二冬一夏」試験の完了を義務付ける方針だ。

2. 3万km以上の信頼性走行試験
新車開発において、実車による3万km以上の信頼性試験および重要構造部品の厳格な強度検証を求める内容が盛り込まれている。

3. 1年間の特別取り締まり
開発段階のテスト強化に加え、量産車が認証時の品質・仕様を維持しているかを確認する抜き打ち検査など、1年間にわたる特別監督行動も開始されている。

日本ではJASO(日本自動車規格)が公開されていて試験項目も記載されているが、これは最小限のもので、カーメーカーにとって本当の開発試験の内容は社外秘であり、中国も日本の各社の試験項目の本当の内容は知らないのではないか。その公知されたJASOレベルの試験すら行っていない中国車が、不具合や耐久性に難があるのは当然といえば当然だ。

中国政府が義務化した試験では、実写走行試験を3万㎞としているが、日本ではその10倍以上が常識となっている。

いくら安いとはいえ、スマホレベルの使い捨て品では、結果的には恐ろしく高い買い物となる。日本でBYD車を買うユーザーは余程金が余っているのだろう。というよりも、どうせ会社の経費で買うのだから関係ないや、という事で、話のタネに買ってみる・・・とか。