ドイツの地方選挙や市長選・首長選において、右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」などの候補者が「憲法への忠誠心に疑念がある」という理由で選挙委員会から立候補資格を拒否され、投票用紙から除外(排除)された。
実際に起きた主な事例と、これが「民主主義の破壊」「暴挙」として激しい物議を醸している背景は以下の通り。
1. 実際の主な事例

• ルートヴィヒスハーフェン市長選(ラインラント=プファルツ州・2025年)
◦ 市長選に出馬予定だったAfDの候補者(ヨアヒム・パウル氏)が、選挙実施直前の8月に選挙委員会(他党の議員らで構成)の採決によって出馬資格を剥奪され、投票用紙から排除されした。
◦ 州内務省が「右派過激派との繋がりや発言があり、憲法への忠誠心に欠ける」とする勧告文を出したことが根拠とさた。
• ニーダーザクセン州の地方選・首長選(2026年)
◦ 州法改正により「憲法忠誠心のチェック」が強化された結果、ヴィルヘルムスハーフェン市長選やフリースラント郡長選などに立候補していた少なくとも4名のAfD候補者が選挙委員会によって非適格と判定され、名簿から抹消された。
2. なぜ「暴挙」と非難され、炎上しているのか?

行政・政治側は「過激派から民主主義を守るための防衛策(戦う民主主義)」と説明しているが、国内外や憲法学者から強い批判が出ている理由は主に以下の点だ。
1. 裁判所ではなく「ライバル政党の政治家」が排除を決めている
政党の解散・禁止命令は連邦憲法裁判所しか出せないルールになっているにもかかわらず、現場では他党(CDUやSPDなど)の議員で構成される地方の「選挙委員会」が行政の勧告を受けて競合候補を排除できる仕組みになっている。これが「現職やライバル政党が、人気の高い対立候補を選挙から追い落とすために制度を悪用している」と映っている。
2. 有権者の選択権の剥奪
特定の政党や候補者を支持する有権者から見れば、「投票する前に選択肢そのものを奪われた」ことになり、「真の民主的選挙ではない」という怒りが広がっている。
3. 憲法学者からの強い懸念
ドイツの憲法学者からも、「本来は単なる選挙実務(投票所の設置や集計)を行うはずの選挙委員会に政治的な思想審判をさせるのは行政の過剰介入である」「この前例を許すと、将来的に政権が変わった際に別の政党を排除する道具になりかねない」と手厳しい批判が相次いでいる。
4. 選挙後の混乱と差し止め訴訟
除外された候補者は裁判所に差し止め請求(仮処分)を申し立てて法廷闘争に入ったが、すでに郵便投票が開始されていたり投票用紙が印刷済みだったりしたため、手続き上の大混乱が発生した。
まとめ

「当選確実(あるいは支持を集めている)候補が投票用紙から消えた」というのはデマではなく、行政機関(内務省)と他党主導の選挙委員会が「憲法への忠誠不順」を理由に法的・行政的に候補者を事前排除したという現実の動向だ。
極右・過激派排除の名目で行われているものの、「法治国家のルールを逸脱した政治的排除ではないか」として、独国内でも民主主義の根幹に関わる重大な議論に発展している。
しかし、こんな事をやっていたら、今後のドイツは一体どうなってしまうのだろうか。