国政府が、海外へ移住・帰化した元中国国民に対して、中国籍を強制的または半強制的に「復活(回復)」させようとする動きがあることは、近年、国際社会や人権団体、海外メディア(報道)の間で実際に指摘され、問題視されている。
ただし、これは「二重国籍を公式に認める」という生易しいものではなく、中国政府による「管轄権の強制的な主張(政治的・法的な囲い込み)」という側面が強いのが実態だ。
具体的にどのような背景や動きがあるのか、以下のポイントに整理する。
1. 「中国籍の強制回復」に関する指摘と実態

近年、中国に一時帰国した元中国籍の外国公民(日本に帰化した人など)が、現地当局から圧力を受けて「中国籍の回復手続き」を強制された、という事例が複数報告されている。
• 不当な拘束と圧力: 中国国内で拘束や取り調べを受け、「日本籍を放棄して中国籍を自発的に回復する」という誓約書や動画の撮影を強要されるケースが指摘されている。
• 出国制限: 中国籍を回復させられた結果、中国の国内法が適用される身分となり、長期間(数年から10年近く)の出国禁止処分を下され、日本に戻れなくなるリスクが発生している。
2. 中国政府の「政治的な狙い」

中国の国籍法では、日本と同様に「二重国籍は認めない(外国籍を取得したら中国籍は自動喪失する)」と規定されている。しかし、政治的・戦略的な理由から、以下のような狙いで特定の人物の国籍を「復活」させようとする。
• 外国政府(日本など)の保護を遮断する: 日本国籍のままであれば、中国で拘束された際に日本大使館による「領事面会」や外交的な救済を受けられる。しかし、中国籍を無理やり復活させて「中国国民」にしてしまえば、中国政府は「これは我が国の国内問題であり、外国の介入は許さない」と主張できるようになる。
• 資産の差し押さえや言論統制: 中国政府に批判的な活動を行っている活動家や、多額の資産を持つビジネスパーソンを標的にし、中国の法律で裁いたり、資産を実質的に統制・没収したりしやすくする狙いがある。
3. 日本政府の立場と「日本籍を捨てさせる」ことの難しさ

仮に中国政府が本人の意思を無視して「中国籍の復活」を処理したとしても、日本の法律上、自動的に日本国籍が消滅するわけではない。
• 国籍喪失のルール: 日本の国籍法では、「自分の意思で他国の国籍を取得したとき」に日本籍を失うと定められている(国籍法11条1項)。
• 強制された場合は対象外: 中国当局に脅されたり、強制的に中国籍を戻されたりした場合は、本人の「自由な意思(志望)」による取得とはみなされないため、日本の法律上、日本国籍は失われない。
まとめ

噂されている動きは、単なる二重国籍の推奨ではなく、「帰化した元中国人を、中国の法律で縛り付けるための罠(潜在的国籍の武器化)」として、国際的に警戒されている非常にシビアな問題だ。
そのため、日本に帰化した元中国人の間では、中国への不用意な一時帰国や、現地でのビジネス活動に対して、近年非常に慎重になる動きが広がっている。