女子医大が深刻な不全を抱える体質に至った根本原因は「創業者一族と同窓会 」


女子医大がこれほど深刻な不全を抱える体質に至った根本原因は、「創業者一族と同窓会(至誠会)による極端に閉鎖的な同族・内輪経営」「巨大な権力を持った名医たちの下で培われた絶対的縦社会」「女子医大という特殊性が生んだ外圧への防衛本能」が複合的に絡み合い、時代に合わせた自浄作用やガバナンス改革を放棄し続けた歴史にある。

具体的には、以下の歴史的・構造的背景が挙げられる。

1. 同窓会「至誠会」と同族による私物化・閉鎖的統治

女子医大の最大の異質さは、同窓会組織である「一般社団法人 至誠会(しせいかい)」の存在感にある。

吉岡彌生(やよい)創立者の血縁や、至誠会の上層部が大学経営の要職・理事長職を長年にわたり独占してきた。

• 本来であれば第三者として経営を監査・牽制すべき同窓会と大学本部が一体化し、内部での権力闘争や人事の私物化が常態化。異論を唱える医師や経営幹部を排斥し、外部の客観的なチェックが一切働かない「超・閉鎖空間」を作り上げていた。

2. カリスマ医師が生んだ「異論を許さない絶対的縦社会」

かつて「心臓の女子医大」「脳神経の女子医大」として世界をリードできたのは、榊原仟(さかきばら しげる)医師をはじめとする歴史的名医・カリスマ外科医たちの圧倒的な功績だった。

• しかし、その偉大な実績の裏で、診療科内には「教授やトップの決定は絶対」という苛烈な縦社会が完成した。

• この体質が現場に深く根付いた結果、医療安全上の疑問や手技の逸脱(小児への禁忌薬の過剰投与や機器操作ミスなど)があっても、若手医師や現場の看護師・技師が声を上げられない、あるいは「上からの指示だから」「今までもこうやってきたから」と感覚が麻痺していく環境が醸成されてしまった。

3. 女性医師養成を主導した「聖域」としての自負と防衛本能の裏返し
「唯一の女子医大」としての自負と閉鎖性の醸成
戦前には帝国女子医学専門学校(現:東邦大学医学部)や大阪女子高等医学専門学校(現:関西医科大学)など、複数の女子医学専門学校が存在しており、東京女子医大だけが女性医師の道を切り拓いたパイオニアではない。

しかし、戦後の学制改革を経て新制大学へ移行する際、他の女子医専が共学化したり統合されたりする中で、同大は全国で唯一の「女子医科大学」として存続してきた。この歴史的背景から、「自分たちこそが女性医師を養成する特殊な聖域であり、外部の男性社会から自分たちを守らねばならない」という、他の大学病院にはない非常に強い仲間意識が醸成された。

4. チェック&バランスの欠如と自浄能力の完全な喪失

通常の大学病院であれば、外部理事の導入やコンプライアンス部門の独立、医療安全管理体制の強化によって「暴走」や「隠蔽」を防ぐが、女子医大では、経営の頂点に権力が集まりすぎたため、医療安全部門の勧告すら形骸化してしまった。

度重なる事故で特定機能病院の指定を取り消されてもなお、根本的な体質改善を行わず、かえって「人件費カット」や「異論派の排除」といった強権政治で乗り切ろうとした結果、優秀な医療スタッフの離散と臨床・経営基盤の崩壊を決定づけた。

名門としての過去の成功体験と「閉鎖的な身内政治」が、透明性と安全管理を何より厳しく求められる現代医療のあり方と決定的に乖離してしまったことが、この体質を生み出した歴史の正体と言える。