中国がタングステンの輸出を規制したら日本の素材が止まり、韓国の中国工場のメモリ生産に支障がでた





中国によるタングステン輸出規制が日本を直撃した結果、日本の素材メーカーから供給を受けていた韓国のメモリ生産が激減し、そのメモリを大量に使用する中国が結果的に一番影響を受けたという「ブーメラン現象」は、現時点で「韓国のメモリ生産が激減し、中国が一番の被害を受けた」という結果が確定した(既成事実となった)わけではないようだ。

この件に関するサプライチェーンのつながりは‥‥

🔷サプライチェーンの構造
この問題の背景にあるのは、まさに以下の「玉突き構造」にある。

中国: 世界のタングステン供給の約8割を支配。ここが輸出規制や管理を強化した。

② 日本(素材メーカー): 中国から原料を仕入れ、半導体製造に不可欠な「六フッ化タングステン(WF6​)」などの特殊ガスや高純度素材に精製。

韓国(メモリ大手): 日本の素材メーカーからWF6​などを輸入し、最先端のDRAMやNANDフラッシュメモリ(特にAI向けのHBMなど)の配線工程に使用。

④ 中国(IT・製品組み立て): 韓国から最先端メモリを輸入し、スマートフォンやPC、AIサーバーなどの最終製品を製造・消費。

このように、日本が中間で高度な精製を担っているため、中国の規制が巡り巡って自国のハイテク産業を絞めるという構図は理論上完全に成立する。

🔷現在のリアルタイムな動向
足元の動きとしては、「生産激減」という破局的な事態に陥る前に、日韓の企業が猛スピードで「代替策」に動いているのが現状だった。

• 材料の切り替え(モリブデンへの移行): 韓国の半導体大手などは、タングステン不足を見越して、次世代メモリの配線材料をモリブデン(Mo)へ切り替える動きを急ピッチで進めている。これにより、タングステン規制の直撃を回避しようとしている。

• 調達先の多角化: 日本や米国の側でも、中国依存を脱却するために米国などでのタングステン鉱山再開や、スクラップからのリサイクル強化など、サプライチェーンの再編(デカップリング)が加速している。

まとめ
中国の規制によって日本のWF6​などの供給に強い懸念が出たのは事実だが、韓国側が先手を打って「材料の代替(モリブデン化)」や調達先変更を進めているため、「中国の自爆で終わった」というよりは、「中国の規制をきっかけに、日韓がタングステン離れ(中国離れ)を加速させている」というのが、現時点での正確な進捗状況と言える。

ところで、タングステンからモリブデンに切り替えたとき、肝心のメモリの性能はどうなるのだろうか。

これについては続編にて