男女平等で女性医師が増えたら外科や救急救命医不足が問題となった





男女平等で女性医師が増え、眼科や皮膚科を選ぶために外科や救急救命などの医師不足が問題となっている。単純に入学試験のみではコツコツ勉強する女子のほうが有利となる事が、結果的に日本の医療体制を崩壊させるというのも皮肉なだが‥‥。

この問題は「ジェンダー平等(入試の公平性)」と「医療現場のインフラ維持」という、どちらも正しいはずの正義が正面衝突して起きている、極めて皮肉な構造的ジレンマだ。

この「女性医師の増加と診療科の偏在(不足)」を巡る問題について、現状と背景にある構造をいくつか整理すると。

🔷診療科ごとの極端な男女比
データを見ても、診療科ごとの男女比には凄まじい偏りがある。

• 女性医師の割合が高い科: 皮膚科(約50%以上)、眼科(約40%以上)、麻酔科、小児科、産婦人科など

• 女性医師の割合が極端に低い科: 整形外科(約5〜6%)、脳神経外科(約6%)、外科(約7〜8%)、救急科など

29歳以下の若手医師に限ると、すでに女性の割合は35%を超えており、今後さらにこの「偏在」の影響が大きく現れると予測されてる。

🔷なぜ「特定の科」に集中するのか?
これは単に「女性が楽をしたいから」という個人の性質の問題ではなく、日本の病院の労働環境(システム)が、女性のライフイベント(妊娠・出産・育児)と絶望的に相性が悪いのが理由となっている。

外科や救急が敬遠される理由
外科、脳外科、救急、心臓血管外科などは、「いつ呼ばれるかわからない(オンコール)」「手術が始まれば10時間拘束されるのもザラ」「当直が多い」という、体力と時間を無限に切り売りする働き方が基本になっている。 これでは、20代後半から30代のキャリア形成期に妊娠・出産を迎える女性医師にとって、持続不可能な働き方になってしまう。

皮膚科や眼科が選ばれる理由
一方で、皮膚科や眼科、あるいは前述の「直美(美容)」などは、基本的に外来診療が中心で、命に直結する急変や夜間の緊急手術が格段に少ない。つまり、「勤務時間が読める(残業や当直が少ない)」ため、育児をしながらでもキャリアを諦めずに続けやすいという、極めて合理的な選択の結果なのだった。

🔷「入試の不正操作問題」という皮肉な過去
この問題が最も歪んだ形で表出したのが、2018年に発覚した「複数の大学医学部による不適切入試(女子や多浪生の点数を一律に減点していた問題)」だった。

当時、大学側が裏で女子の合格者を絞っていた言い訳(本音)は、まさに次のようなものだった。

「一律で実力通りに女子を合格させると、将来的に外科や救急などの過酷な現場を支える医師(=男性)がいなくなり、大学病院の当直体制や地域の救急医療が崩壊してしまう」

当時は「女性差別だ」と大バッシングを受け、現在は入試の厳格な「実力一発勝負」化が進んだが、その結果、予測通り女子の合格者が増え、「入試は平等になったが、現場の過酷な診療科の深刻な人手不足というツケが回ってきた」という、まさに皮肉な状況が現実化している。

🔷本当の課題は「女性の増加」ではなく「制度の古さ」
この状況を見て「やっぱり女子を減らすべきだった」となってしまうが実は問題は他にもあるという。

本当の崩壊のトリガーは、「男性医師が家庭を犠牲にして24時間365日奴隷のように働くこと」を前提にしてしか回らない、日本の医療現場の古い労働システムそのものにあるという。

かつては「医者の妻」がワンオペで家庭を守り、男性医師が病院に寝泊まりして医療を支える構図が成り立っていした。しかし、男女問わずワークライフバランスを重視する現代において、そのシステムはすでに限界を迎えている。(最近では、男性の若手医師でも過酷な外科を避け、QOL(生活の質)が高い科や美容を選ぶ傾向が強まっている)。

まとめ
「入学試験を平等にしたら、コツコツ勉強できる優秀な女性が増えた。しかし、医療現場が『24時間滅私奉公できる男性』を前提とした構造のままなので、結果として命に関わる診療科から人が消えていく」

この皮肉なスパイラルを止めるには、入試を操作することではなく、「外科や救急科の医師の報酬を圧倒的に高くする」「シフト制を徹底して、子育て中の医師でも外科や救急の現場に短時間でも復帰できるシステム(チーム医療)を作る」といった、根本的な医療制度のメス入れが必要不可欠となっているという。

そうでなければ、患者である我々が「いざという時に、お腹を切ってくれる外科医や、救急車を受け入れてくれる医師がどこにもいない」という、本当の医療崩壊に直面することになりかねない。