英仏両国は、米国とイランの戦闘終結後にホルムズ海峡を通航する商船を護衛するため、防衛軍艦隊の事前展開や多国籍任務の構築を進めている。
1.英仏による「多国籍任務」の枠組み
英仏は、従来の米軍主導の枠組み( IMSC* )とは一線を画した、独自の多国籍海上安全保障任務を強化している。
• 欧州主導の枠組み(EMASOH/Operation Agenor)の発展:フランスが主導してきた「ホルムズ海峡における欧州主導の海上認識任務(EMASOH)」を基盤に、戦闘終結後の不安定な海域を安定させるための新任務への移行が進んでいる。
• 英国の役割:英国は「キピオン作戦(Operation Kipion)」を通じてペルシャ湾でのプレゼンスを維持しており、フランス艦隊との共同訓練や情報共有を密にすることで、二国間および多国籍での即応能力を高めている。
*IMSC(International Maritime Security Construct):ペルシャ湾、ホルムズ海峡、オマーン湾、アデン湾、バブ・エル・マンデブ海峡、紅海南部における秩序と安全の維持、特に世界の石油供給ルートの海上安全保障を公式に表明している国々の連合体)
2.防衛軍艦隊の事前展開
商船の安全な通航を保証するため、軍事的な抑止力と護衛能力を維持するための配置が行われている。
• フランス海軍:ジブチおよびアラブ首長国連邦(UAE)の拠点を活用。航空母艦や防空駆逐艦を中核とする任務部隊が、海峡入り口付近での哨戒を継続している。


• 英国海軍:23型フリゲートや45型駆逐艦を交互に配備。特に最新の無人掃海艇や自律型潜水機(UUV)を試験導入し、機雷などの非対称な脅威への対処能力を強化している。


3.戦闘終結後の課題と目的
戦闘が公式に終了しても、海域には依然として多くのリスクが残存している。
・商船の護衛:拿捕や妨害のリスクを低減し、エネルギーサプライチェーンを安定させる。
・航行の自由(FON):国際法に基づき、公海および国際海峡における自由な通航権を維持する。
・不発弾・機雷除去 :紛争中に敷設された可能性のある機雷や漂流物の掃海。
・ 地域諸国との連携:サウジアラビアやオマーンなど、沿岸国との防衛協力による緊張緩和。
今後の焦点:米国が段階的に関与を縮小(ピボット)する中で、英仏がどれだけ地域パートナー(日本やインドなど)をこの多国籍任務に巻き込み、負担を分担できるかが長期的な安定の鍵となる。