韓国に対してエネルギー安全保障は協力するが、通貨スワップ、CPTPP参加は事実上拒否





「韓国に対してエネルギー安全保障は協力するが、通貨スワップやCPTPP((環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)参加は事実上拒否する(あるいは慎重・見送りとする)」という構図について、近年の日韓関係の動向やそれぞれの政策の背景を整理する。

日韓間では関係改善や実利的な協力が進む一方で、国家の基幹に関わる金融や広域経済連携においては、依然として慎重な境界線が引かれているのが現状だ。

1.【協力】エネルギー安全保障における連携
日韓両国はともにエネルギーの大部分を海外からの輸入(特に中東などへの依存)に頼っているという、共通の構造的弱みを抱えている。そのため、この分野では対立を横に置き、「実利的な相互補完」としての協力が進められている。

• LNG(液化天然ガス)や石油製品の融通(スワップ): 地政学的リスクや災害によって供給網(サプライチェーン)が途絶した際、近隣国である日韓が互いの備蓄を融通し合う枠組み(融通協定)の構築が進んでいる。

• クリーンエネルギー分野の共同開拓: 水素やアンモニアといった次世代エネルギーのサプライチェーン構築において、共同で投資や調達を行うことで、国際市場での買い交渉力を高める狙いがある。

2.【拒否・慎重】通貨スワップ協定の現状
金融危機の際などに互いの通貨を融通し合う「日韓通貨スワップ協定」については、再開や延長に対して日本側が極めて慎重、あるいは事実上の拒否(消極的)に近い姿勢を維持してきた。

• 政治的信認の課題: 通貨スワップは「信頼関係」を前提とした金融安全網であり、過去の歴史認識問題やレーザー照射事案などによる関係悪化の際、韓国側から「(日本に)頭を下げてまで維持する必要はない」といった世論が出た経緯もあり、日本側には「政治的リスクが解決しない限り、安易な金融支援枠組みは復活させない」という根強い方針がある。

• 韓国の経済的必要性の変化: 韓国側も外貨準備高が増加したこと、また米国など主要国との中央銀行間連携を模索している(あるいは拒否された歴史がある)ことから、政治的摩擦を冒してまで日本に強く頭を下げて要請しづらいという、双方の引き込み線がある。 (※2023年に関係改善の一環で一時的に再開合意がなされた局面もあったが、恒久的な枠組みや規模拡大に対しては常に厳しい目が向けられている)

3.【事実上の拒否】CPTPP(TPP11)への参加
環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)への韓国の参加(加盟)については、日本が「事実上の拒否権」を持つ立場にあり、厳しい姿勢を崩していない。

• 高い自由化水準(ルール)の順守: CPTPPは、単なる関税撤廃だけでなく、知的財産権の保護、政府系企業の規律、労働・環境基準など、非常に高いレベルのルール順守を求められる。日本側は「韓国がこの高い規律を完全に満たせる体制にあるか」を厳格に審査する姿勢をとっている。

• 二国間懸案の未解決: 日本側は、韓国による福島県産など日本産水産物の輸入規制措置や、知財保護に関する姿勢、そして極めつけは竹島不法占拠を問題視している。CPTPPの新規加盟には「全加盟国の同意」が必要なため、日本が難色を示している段階で事実上の門前払い(拒否)に近い状態が続いている。

【まとめ】日韓の「戦略的使い分け」
今日の日韓関係は、「協力できる実利分野(エネルギー・防衛実務)」と、「国家間の高い信頼やルール順守が求められる分野(金融・広域経済圏)」を明確に切り離す、グラデーションのある外交関係(戦略的実利主義)にシフトしている。

エネルギー安全保障における連携が発表された時には、こりゃマズいぞと思ったが、通貨スワップやCPTPP参観ついては門前払い状態であり、ひとまず安心というところだ。