2026年3月に開始された米軍によるイラン攻撃(オペレーション・エピック・フューリー)において、中国が沈黙を貫いたこと、そして中国製兵器の「実戦での限界」が露呈したことは、グローバルサウス*諸国の対中観を根底から揺さぶっている。
*グローバルサウス:主に南半球(アジア、アフリカ、中南米)に位置する新興国・途上国の総称
現在の状況は、単なる「兵器の性能問題」に留まらず、「中国は軍事的な後ろ盾にはなり得ない」という政治的不信感へと発展している。
1.「中国製防空システム」神話の崩壊
イランは、ロシア製のS-300に加え、中国製の「JY-27A」(ステルス機探知レーダー)や「HQ-9(紅旗9)」の輸出型などを配備し、独自の防空網を構築していた。しかし、今回の衝突で以下の事実が判明した。

• ステルス機への無力:米軍のF-35等のステルス機に対し、中国が「探知可能」と豪語していたレーダー網が事実上機能しなかった。
• 電子戦での完敗:米軍の強力な電子戦(ジャミング)により、中国製システムが通信遮断や誤作動を起こし、迎撃ミサイルを放つ前に無力化されたと報じられている。
• ベネズエラでの前例:過去にベネズエラでも同様の事態が起きており、「カタログススペックと実戦性能の乖離」が決定的な評価として定着しつつある。
2.「見捨てられたイラン」という政治的ショック
グローバルサウス諸国が最も衝撃を受けているのは、中国の冷淡な外交姿勢だ。
• 支援の不在:「包括的戦略パートナーシップ」を締結していたにもかかわらず、イランが国家存亡の危機に陥る中で、中国は「自制を求める」という声明を出すのみで、実質的な軍事支援や経済的リスクを負う動きを見せなかった。
• 「口先だけの盟主」:米国との直接対決を恐れてパートナーを切り捨てる姿勢は、「有事の際に中国は助けてくれない」という教訓をアフリカや中東の独裁的指導者たちに植え付ける事になった。
3.グローバルサウス諸国の「防衛戦略の再考」
この状況を受けて、中国製兵器の主要な顧客であった国々の動きに変化が出ている。
• 「安物買いの銭失い」への警戒:安価で政治的条件の緩い中国製兵器は魅力的だったが、今回の失態で「いざという時に役に立たない装備に国運を預けられない」との認識が広がっている。
• 装備の多様化(ヘッジング):中国一辺倒から、トルコ製ドローンや韓国製兵器、さらには欧米製装備への回帰、あるいは「自国生産」への注力など、供給源を分散させる動きが加速している。
• 外交的距離の調整:経済協力(一帯一路)は継続しつつも、安全保障に関しては中国を唯一のパートナーに選ぶリスクを回避する「等距離外交」へシフトする国が増えている。
結論
中国にとって、イランにおける防空システムの不具合と消極的な外交は、「グローバルなリーダーとしての格」を疑われる手痛い失点となった。
グローバルサウス諸国は現在、「中国はインフラを作る技術(建設)はあっても、国家を守る力(軍事・信義)はまだ備わっていない」という冷ややかな目で北京を見ている。この信頼の空白を、米国や日本、あるいは他の新興勢力がどう埋めていくかが今後の焦点となるだろう。