ヒュンダイ XG (2002/10/07)
 

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ヒュンダイ クーペ

※この試乗記は2002年10月現在の内容です。従って、文中の車種や価格は現在と多少異なる場合があります。

全長4865、全幅1825という堂々たる大きさ。エンジンはV6 3ℓで試乗車は本皮パワーシート、木目パネル、皮と木目のステアリングホイール、それにナビまでついたフル装備で約290万円。布シートのベースグレードなら240万円からある。  

運転席に座って電動シートを調整している雰囲気は高級車そのもの。内装も木目パネルが随所に貼られ、樹脂部分は全て流行の弾性樹脂で欧州車や国産の高級車と変わらない。オーディオパネルとの繋ぎ目も段差や隙間もなく、この点では1ヶ月前に乗ったメルセデスE320(700万円也)より良いくらいだ!

走り出すと、結構なトルクと静かで滑らかな加速感に、まず驚く。さすがにV6・3ℓだけのことはある。走行中にキックダウンしてみると、ATの反応は鈍くシフトダウンに時間が掛かることと、このエンジンは高回転が荒っぽく音も静かではないが、クラウンロイアルの3ℓだって似たようなものなので十分合格と言えよう。

ハンドリングと乗り心地は、クラウンロイヤルを更に極端にした、フラフラのヨレヨレ・・・・・・・・を想像していたが、ある面で裏切られた。そこそこクイックなステアリングと適度に硬いが結構良い乗り心地。もちろんFFとしてはアンダーも少なく、直進安定性も結構良い。ハッキリ言って、クラウンロイヤル(同程度のスペックならマジェスタの500万級)より良いくらいで、ボルボV70なんて足元にも及ばない!!

同乗したセールス氏によると、試乗した殆どのお客さんが、価格と韓国製のイメージからの期待?(フラフラ、ヨレヨレ)を裏切られ、あまりに出来が良いのでショックに陥るとの事。

ブレーキは嬉しいこと?に、良くない。いかにもパッドのミューが低そうな感じで、効きが良くない。パッドの材質のみならず、ブレーキ系統全体、システムとしての剛性が低い感じがする。後で、ホイールの中に覗いているキャリパーをみると、なんだか垢抜けないデザインの、如何にも苦労してでっち上げたという感じだ。

BMW318やMBのC180について、「2ℓやそこらの、あんな小さくてチャチいのに400万も出すのは大馬鹿だ!350万でクラウン2.5ℓが買えるのに。」と言う奴がいるが、そいつらに言ってやりたい。350万でクラウン買う奴なんて大馬鹿だ。ヒュンダイXGなら400万の3Lロイヤルなみが240万で買えるのだから・・・ と。

ここまでXGを褒めておいて、ではXGを買うかと聞かれたら・・・NO!
試乗した範囲では、コストパフォーマンス抜群だったが、この性能は何処まで維持出来るのか?2万キロでエンジンがたがた、ダンパースコスコなんてならないか?それに下取りは?3年後に今のデーラーは存在するのか?等、等。

単にコストパフォーマンスでは売れないのは、ベンツ・ビーエムに代表される欧州プレミアムカーが結構な売れ行きであることが証明している。

追記(2005/4/11)

この試乗記を書いたのは2年半程前のことだ。だから当然、今現在では事情が違ってきている。当時3ℓセダンで2百数十万というのは驚異だったが、その後ホンダがインスパイアをモデルチェンジしベースグレードの30TEを283.5万円(消費税含む)で発売した。こうなるとヒュンダイXGは歩が悪い。そこで、XGも2.5ℓを追加したりと対策に追われたようだ。
また、当時はフラフラ、ヨレヨレの代名詞だったクラウンロイヤルは、欧州車を意識したゼロクラウンに変身し、セド/グロもまたBMW5シリーズを目標としてフーガとなった。

日本車が必死の努力で欧州のプレミアムカーに近づいて、もう少しで追い越すかと思う頃には、あちらは一気に先に進んでしまう。日本車と韓国車の関係もこれを同じで、韓国車が必死で日本車に追いついたと言っていると、日本車は一気に先へ行ってしまう。この差は、いつまで経っても埋まらないような気がするが。