B_Otaku のクルマ日記


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2019/7/20 (Sat)  50年前のレーシングカー<5>

1960年中盤以降のスポーツカー選手権はフェラーリP とフォードGT の争いにシャパラルが絡んでの争いだったが、スポーツカーといえばボルシェであり、さてそのポルシェはどうだったのだろうか。

Porsche
ポルシェがスポーツカーレースへと参戦する過程で開発されたレーシングモデルがカレラGTS (通称904) で GT2 クラスのホモロゲーションを取得するために100台が生産され市販もされた。ただしサーキット専用では無く、アマチュアが公道を自走してサーキットへ行けるスポーツカーという事で、あれっ、これって 911GT3 と同じコンセプトだ。

ミッドシップに積むエンジンにはいくかのバリエーションがあったが、主力は水平対向4気筒 2.0L 180ps/7,200rpm 200N-m/5,000 の 587/3 エンジンだった。これって、マルで現代のケイマンみたいだ。なおボディーサイズは全長 4,090 x 全幅 1,540 x 全高1,060㎜ ホイールベース2,300㎜ というコンパクトさで、これはホンダS660 の全長 3,995 x 全幅 1,475 x 全高1,180㎜ ホイールベース 2,285㎜ に近いサイズだ。しかし車両重量については 904 は 650kg と S660 の 830kg よりも 180㎏ も軽く、エンジンは S660 の 64ps に対して180ps と圧倒的に強力だから、そりゃ速いのは当然だ。

それで戦歴はというと1964年はセブリング12時間でクラス優勝、タルガ フローリオでは何と総合1~2位、年間シリーズでは GT2クラスで優勝となった。

1965年にはワークスの主力は 904/6 (6気筒2L) や 904/8 (8気筒2L) となり、タルガ フローリオでは GT クラス優勝、ルマンでは6気筒 212ps のプロトタイプが総合4位、5位、そしてGT2クラスではシリーズチャンピオンを獲得した。

1966年はグループ4スポーツカー (年間生産50台以上) で国際選手権を争う事となり、S2 (2L以下) クラスタイトル奪取を狙って開発されたのが純レーシングカーの 906 で、エンジンは 911用をベースとした空冷水平対向6気筒2L 210 ps の 901/20 と燃料噴射により 220ps に向上した 901/21 、そして水平対向8気筒 2.2L 260ps の 771/1 というバリエーションが存在した。シャーシ―は 904の鋼板ボックスフレームから鋼管スペースフレームに変更され、上記のエンジンをミッドシップに搭載している。

1966年の戦歴はデイトナ24時間-総合6位(クラス1位)、セブリング24時間-総合4、5位(クラス1,3位)、モンツァ1000㎞-総合4,5,6位、タルガフローリオ-総合1,3,5位(クラス1~3位)、ニュルブルックリンク1000㎞-総合4、11位(クラス4位) そしてルマン24時間レースでは総合4~7位(クラス1位) という立派なもので、ルマンでは1~3位が 7L のフォード マークⅡで、これに次いで僅か 2L の 906 が 4~7位までを占めたというのは当時からポルシェの技術の優秀さを物語っている。

実はこの年 (1966年) に第3回日本グランプリに 906 が出場し、この時のテレビ中継で初めて目にした 906 のストリートカーとは全く違うスタイルには度肝を抜かれたのを覚えている。このレースでは和製 906 とでも言うべきプリンス R380 も出場し、日本のレース史に残る熱戦を繰り広げたのだが、これについては別項で取り上げる予定だ。

1967年には 906 の発展型である 910 が投入された。エンジンは 906 と同じ燃料噴射 220ps の 901/21 と8気筒 2.2L の 771/1 (ただし260 → 270psにアップ) で、シャーシ―は 906 に対して軽量化と剛性アップが行われている。

1967年の戦歴はタルガフローリオで8気筒モデルが総合優勝、6気筒が2、3位と独占状態だった。当時のポルシェは 904 時代からタルガ フローリオでは圧倒的な強みを見せたのが、同レースのコースがコーナーが多く速度が遅い事により、大排気量のモンスターに比べて優位に立てる事が原因だった。まあこれは現代のストリートでも同様で、日本の峠道なら 4,000万円のランボルギーニよりも中古で 150万円のランエボの方がはるかに速い‥‥みたいなものだ。

話を戻して、ニュルブルックリンク1000㎞ でも1~3位を独占したが、シリーズ優勝はフェラーリ330P4 に僅かに及ばず達成できなかったが、排気量の差を考えれば大健闘だった。

2~2.2L で 4L のフェラーリと同等の熾烈な争いを演じるというポルシェの技術力を見せつけたシーズンだったが、その後ポルシェは水平対向12気筒 4.5L 520ps の 917 という無敵のマシンを投入する事になるのだが、これについては次回ににて。

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2019/7/18 (Thu)  50年前のレーシングカー<4>

1960年代中盤にフォードとフェラーリが激しく争っていたスポーツカー選手権に割り込んで活躍したのがシャパラルで、当時を知る読者からすれば懐かしい名前だろう。

Chaparral
シャパラル カーズはテキサスの石油王でレーシングカーのドライバー兼エンジニアでもあるジム ホールによって設立された会社で、スポーツカーレースや CART に参戦していた。シャパラルのレースカーの特徴は GM製エンジンをセミATと組み合わせるクラッチレスで、これはレーシングカーとしては極めて珍しかった。そして実はこの会社は GM のダミーだったというのが後に定説となった。

スポーツカーレースに本格的に参入したのは 1965年で、セブリング12時間レースにスポット参戦し、フォードやフェラーリという競合を抑えて優勝という大金星を達成した。

1966年はスポーツカー世界選手権への本格参戦を開始し、プロトタイプスポーツカー (グループ6) の 2Dを開発し出場した。結果は序盤2戦は振るわず3戦目は改良の為に欠場、そしてニュルブルックリンク1000㎞ で優勝を果たしたが、ルマンではリタイヤとなった。

1967年はシボレー 7L エンジンと3速セミATを搭載した 2F に発展したが、このマシンの最大の特徴は巨大なウィングを備えている事で、これは2ペダルの優位点である "余った左足" でウィングの角度を調整する事でコーナーの条件に最適なダウンフォースを与える事ができた。

しかし大排気量エンジンとATの組み合わせには信頼性に大きな問題を残し、予選では上位を獲得するものの、決勝ではリタイヤが相次ぎ、結局最終戦のBOAC500マイルで初完走&優勝するに留まった。

1968年はスポーツカー選手権のレギュレーション改定で5L 以上のエンジン搭載車が閉めだされた為に、フォード同様に Can-Am を主戦場とする事になった。

なおシャパラルのマシンでも特徴的なのが1970年の Can-Am シリーズに登場した 2J で、車体内部の空気を強制的に吸い出す事で路面との間に負圧の空間を作り、結果的にダウンフォースが増すというものだ。実はこれ、GMの技術研究グループの実験車をシャパラルがレース用のモディファイしたもので、当時の雑誌解説によるとベラボウに速かったというが、結局レギュレーションで閉め出されてしまった。

冒頭でも述べたが、シャパラルは実は GM のダミーであり、サーキットでのデーター取得等が本来の目的だっようで、一説によるとジム ホールがテキサスの石油王というのも嘘だとも言われている。

次回は60年代後半からの主役となったポルシェについて纏める予定だ。

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2019/7/16 (Tue)  Porsche New (992) 911<5>

オプションのスポーツクロノを装着すると付いてくるダッシュボード中央のストップウォッチは相変わらずで、まあこれが何の役に立つかと言えば、オプションが付いている事は判る‥‥程度だ。

メーターはセンターの回転計のみアナログのメカ式で、ポルシェとしてはこれは譲れないのだろう。それ以外のメーターはフルディスプレイとなっている。

ステアリングスポークに各種のスイッチ類が組み込まれたのは 911 としては初だろう。なお右側のスポークの下には 991 Ph2から始まった走行モード切り替えスイッチが見える。

911 といえば5連メーターがアイデンティティの一つだったが、992では液晶ディスプレイ化したためにデフォルトでは速度計以外のメーター表示は出てこない。しかし911の証しである5連メーターは欲しかった、と個人的には思っている。

エンジンのスタートは金属キーを髣髴されるスイッチで、押しボタンにしないのもポルシェの意地だろう。なお従来ドイツ車の定番だった回転式ライトスイッチは押しボタン式に変更された。

ペダルは先代同様に立派なスポーツペダルが付いている。

さて以上新型 911 (992) の内外装を見てきたが、まあ正常進化であるが徐々に IT 化が進んでいる事は事実で、これも時代の変化だろう。とはいえ、どうも今回の新型が内装が安っぽく感じる。勿論よく見れば高価な素材を使っているのだが、なにやら華が無い。人によっては同じく最近新型となった BMW Z4 の方が豪華だとすら感じるかもしれない。

それで、走りの方はといえば‥‥勿論試乗は済んでいるので、近いうちに試乗記として纏める予定だ。

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