「お名前.com デスクトップクラウド」の主な利用者は、FX自動売買向けVPSとしてソフトを24時間稼働させる、個人を中心とした投資家だ。ユーザーがクラウド環境を選んでいた理由は、リスクを軽視したのではなく、むしろ「自宅PCで運用する物理的・環境的リスク」を回避するためだ。

・自動売買における自宅運用のリスク:自宅のPCで自動売買ツールを動かし続ける場合、停電、通信障害、OSの予期せぬ自動更新、端末のフリーズなどでシステムが停止する危険がある。相場の急変時にシステムが止まって決済できなくなると、致命的な金銭的損失に直結する。
・クラウドへの信頼とリスク認識:ユーザーにとっては「自宅環境の不安定さ」こそが最大のリスクであり、強固な電源設備と回線を持つ大手企業のクラウド(データセンター)を利用する方が、はるかに安全で合理的と判断されていた。高度なサイバー攻撃による大規模な情報流出や不正操作のリスクよりも、日々の稼働の安定性や、大手プロバイダのセキュリティに対する信頼が上回っていたのが実情だ。
お名前.com ユーザーのITリテラシーは大きく二極化
全体の大多数は「提供されたマニュアル通りに初期設定ができる程度」の一般利用者だ。

マニュアル依存の一般層(大多数):FXの自動売買ツール(EA)を稼働させる目的のみで契約しており、アフィリエイターやツール販売業者が作成したウェブ上の手順書に沿って設定を行う層で、VPSを単なる「24時間電源が切れない遠隔のWindowsパソコン」として認識しており、リモートデスクトップ(RDP)の通信構造、ネットワークポート、ローカルドライブ共有に潜むセキュリティリスクなどのインフラ技術に関する知識はほぼ持ち合わせていない。
システムを構築する技術層(極少数):自らMQL4やPython等で取引アルゴリズムを記述し、API接続などを駆使してシステムトレードを行う層で、一定のサーバー構築やセキュリティの知識を有しているが、インフラ維持の手間を省き、低遅延な取引環境を得るために大手事業者のサービスを利用している。
利用者側のPC環境にまで被害が波及した背景

利用者側のPC環境にまで被害が波及した背景には、大多数を占める一般層が、RDPのクリップボード共有やドライブリダイレクトといった便利な機能をデフォルト設定のまま使い、システムの裏側にある構造的なリスクを認識せずにブラックボックスとして運用していた実態がある。