中国の自動車情報ポータルサイト「懂車帝(Dongchedi)」が実施した実測テストにおいて、ファーウェイ(Huawei)と江淮汽車(JAC Motors)が共同展開する高級車ブランド「尊界(Maextro)」の高級MPV「尊界 V800」のブレーキペダル支架(ブラケット底座)が相次いで破断した問題の経緯と双方の主張、影響についてまとめる。

1. トラブルの概要

2026年10月8日、懂車帝が公開した実測動画において、100km/hからの緊急制動(100km/h–0 フルブレーキ)テストを受けた3台の「尊界 V800」すべてのブレーキペダル支架が破断したことが報じられた。
• 破断の経過:
◦ 1台目:3回目の全力制動時にペダル支架が破断。
◦ 2台目:4回目の全力制動時に破断。
◦ 3台目:2回目の全力制動時に破断。
• 3台とも同一箇所・ほぼ同一形状の断口で破断したことから、設計上の強度不足や安全冗長性(セーフティ・マージン)の問題が浮き彫りとなった。
2. 「暴力テスト」疑惑とペダル踏力の経緯

動画公開後、テスト結果を疑問視する声と懂車帝側の釈明で議論が紛糾した。
ネット上の疑問(4,589Nの表示):
ネット上では、測定器画面に「4589N(約468kg相当の荷重)」という過大な数字が映り込んでいたスクリーンショットが拡散し、「過度な力で叩きつけるような暴力テスト(非現実的な過負荷)だ」との指摘が浮上した。
• 懂車帝の釈明:
懂車帝側は、動画上の「4589N」はカメラのフレームレートと表示器の同期ズレによる画面の残影(フリッカー)に過ぎないと説明した。
実際に記録された3台目の破断直前のピーク踏力は1,612N(164㎏f程度)であり、一般的なドライバーの力強い急ブレーキ動作の範囲内であると反論した。
同条件でテストした他社8車種(平均踏力1,600N以上で6回制動)ではペダルおよび支架に問題は生じなかったと公表されている。
3. 尊界(鴻蒙智行・江淮汽車)側の公式対応
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10月8日夜、尊界汽車は公式声明を発表し、以下の3点を説明した
01 基準適合の主張:
制動システムは国家標準(GB 21670-2025、GB 7258-2026)および業界推奨標準(QC/T 788-2018)を超える厳しい自社基準で開発・検証を完了している。
02 実際の市販車での不具合ゼロ:
首批納車以来、ユーザーの実際の走行シーンにおいてブレーキペダル支架の破断トラブルは発生していない。
03 「非標準の極端条件」扱いと無償アップグレード対応:
今回の懂車帝のテストを「非標準の極端なテスト条件」と位置づけつつも、さらなる安全冗長性を確保するため該当部品の設計を最適化(改良)し、すでに納車済みの全車主に対して無償で部品アップグレード(交換)を提供することを決定した。
4. 懂車帝側の反論

尊界の声明に対し、懂車帝側は以下のように再反論を行った。
• 100km/hからの緊急制動は自動車実測における最も基本的かつ一般的な項目であり、「極端な工況」と切り捨てることはできない。
• 3台連続して同じ場所が破断した事実は、走行時の安全上のリスクを否定できない根拠である。
5. 株式市場および業界への影響

• 株価のストップ安:
尊界の生産と共同開発を担う江淮汽車(JAC Motors)の株価は、事態発覚後の10月8日および9日の2営業日連続でストップ安となり、時価総額が2日間で100億元(約2,000億円超)以上消失した。
• 安全性と冗長性への疑問:
尊界 V800は76万〜100万元(約1,600万〜2,100万円)クラスの超高級車種として売り出されたモデルであったため、走る・曲がる・止まるという基本的なハードウェアの強度(特に安全冗長性)に関する信頼性が問われる事態となった。
そもそも、ブレーキペダルの強度計算なんて工業高校の力学レベルの話であり、このメーカーの技術的レベルは殆ど素人、という事になる。