英国でEVが売れているのは充電インフラが整っているからか?


結論から言うと、「インフラが完璧に整っているから」ではない。英国のEV普及は税金優遇やメーカーへの規制という「売れる仕組み」が先行しており、充電インフラ側は急ピッチで整備が進むものの、依然として課題や不満が多く残るのが実情だった。

1. 充電インフラの現状と課題

• 数量自体は急増中:全国で12万口を超える公共充電器が設置され、特に高速道路や幹線道路沿いの超急速充電器(Ultra-rapid)の増設が進んでいる。

• 激しい地域偏在:充電設備の多くがロンドンなどの都市部に偏っており、地方や郊外では「充電砂漠」と呼ばれる不足地域が存在する。

• 住宅事情の壁:英国は車庫がなく路上駐車する住宅が多く、自宅充電器を持てない層への路上充電器(On-street charger)の設置が追いついていない。

• 稼働率・使い勝手の悪さ:故障で使えない機器の多さや、運営会社ごとにアプリや決済方法が異なる点がユーザーの強いストレスとなっている。

2. インフラ途上でもEVが売れる理由

• 法人(カンパニーカー)税制の節税効:EV新車販売の過半数は企業が購入・契約する法人フリートで、現物給付税(BiK)の税率がEVだけ極端に低いため、節税目的で選ばれている。

• メーカーへの販売義務化(ZEVマンデート):政府が自動車メーカーに「新車販売の一定割合以上をEVにする」ことを義務付けているため、メーカーが自腹を切って大幅な値下げやリース割引を行い、市場に押し出している。

• 自宅充電できる層が先行:ガレージや敷地内駐車場があり、夜間に安価な電力で充電できる戸建て所有者が中心となって購入を支えている。

英国のEV市場は「インフラが快適だから買われている」のではなく、「強力な税制・規制で半ば強制的に市場が作られ、インフラが後から必死に追いかけている」状態と言える。