日米豪およびニュージーランド(NZ)は、中国が「一帯一路」構想を通じて太平洋島嶼国へ進める巨額のインフラ投資やローン供与に対し、「質の高いインフラ投資」「透明性の確保」「債務の持続可能性(債務の罠の回避)」を掲げた共同プロジェクトを展開している。
1. 多国間連携・調整枠組み

• ブルーパシフィックにおけるパートナー(PBP: Partners in the Blue Pacific)
2022年に日・米・豪・NZ・英の5カ国で発足させた枠組みで、JETROのビジネスニュース や 外務省の発表 によると、太平洋諸島フォーラム(PIF)が掲げる「2050年戦略」に沿う形で、気候変動や通信、気候変動耐性、海洋保全などの支援方針を各国間で重複なく効率的に調整・推進している。
• 日米豪インフラ提携(Trilateral Infrastructure Partnership)
日米豪3カ国の開発金融機関(JICA/JBIC、米DFC、豪AIFFP)が資金を出し合い、透明性が高く国際基準に合致した主要インフラへの融資・出資を行う枠組み。
2. 通信・海底ケーブル分野での共同プロジェクト

中国系企業(華為技術やHMN Techなど)による海洋データ通信網の掌握を防ぎ、通信の安全性・機密性を確保するため、日米豪が共同資金で海底ケーブルを敷設・整備するプロジェクトが重点的に進められている。
• 東ミクロネシア海底ケーブルプロジェクト(EMCS)
ミクロネシア連邦、キリバス、ナウルを結ぶ約2,500kmの海底ケーブル整備計画(約9,500万ドル)で、当初は世界銀行主導で中国企業が入札優位に立ったが、米グアムなどの軍事通信拠点への安全保障上の懸念から事業がやり直され、最終的に日米豪3カ国が全額無償資金(グラント)で支援することを決定した。Submarine Networksの解説記事でも、安全で高信頼な通信基盤構築の連携体制が報じられている。
• パラオ海底ケーブル分岐線プロジェクト
パラオの通信冗長化のため、日米豪が共同で約3,000万ドルを資金拠出・融資し、基幹海底ケーブルへの接続支線を整備した。オーストラリア太平洋インフラ資金調達ファシリティ(AIFFP)の発表 の通り、日米豪インフラ提携の具体的第1号案件として完了している。
3. エネルギー・社会インフラ整備での連携

• パプアニューギニア電力パートナーシップ(PNG Electrification Partnership)
日・米・豪・NZの4カ国が共同で、パプアニューギニアの電化率を2030年までに70%(発足当時約13%)へ引き上げることを目指す大型プロジェクトで、中国国有企業による電力インフラ独占や不透明な融資に対抗し、送配電網の整備や再生可能エネルギーの導入を多国間で分担支援していり。
中国のインフラ投資とのアプローチ比較


日米豪・NZの共同プロジェクトは、資金規模だけで張り合うのではなく、「返済負担を残さない無償型支援」「高セキュリティなデジタルインフラ」「現地雇用を生む環境配慮型プロジェクト」という強みを提示することで、島嶼国側の過度な対中依存を緩和する狙いを持っている。