万博終了後は使用されずに放置されていたEVバスの今後は?





品質の悪さから万博終了後は使用されずに放置されていたEVバスはメーカーであるEVMJの破綻により、損害賠償も出来ない状態となった。廃棄するにしても更に金がかかり、この損害の責任はどこがとるのだろうか。

EVMJ(EVモーターズ・ジャパン)が民事再生法を申請し、事実上の倒産状態となったことで、放置されたEVバスの損害や廃棄コストの責任がどこに帰属するのか、非常に深刻な問題となっている。

結論からいえば、「直接的な損害は購入した運行事業者が被り、間接的な国民負担(補助金)のしわ寄せは行政と納税者に及ぶ」という、極めて不条理な構図になっている。

責任の所在を整理すると以下のようになる。

1.運行事業者(大阪メトロ等)の責任と損害
万博での輸送を担い、EVMJの車両を大量購入した大阪メトロなどの民間・半官半民の事業者が、最も直接的な損害を被る。

• 車両購入費の損失:万博終了後に路線バスとして転用する計画であったが、不具合で断念したため、数十億円規模の投資が「ゴミ」と化した。

• 損害賠償の困難さ:EVMJが破綻したため、契約不履行に基づく損害賠償を請求しても、再生手続きの中では「一般債権」として扱われる。税金や従業員の給与が優先されるため、賠償金が支払われる可能性は極めて低いのが現実だ。

• 廃棄費用の負担:車両の所有者は運行事業者であるため、今後これらをスクラップにする際の費用(数億円単位)も、原則として事業者が負担することになる。

2.行政(国土交通省・環境省)の責任と対応
政府はすでに、これらのバスに投じた「補助金の返還」を事業者に求めている。

• 補助金返還請求:国交省などは「5年間使用する」という条件で補助金を出していたため、使用を断念した大阪メトロに対し、約6億円の返還を命じた。

• 責任の押し付け合い:事業者からすれば「欠陥品を掴まされた被害者」だが、行政側は「不適切な車両を選定した事業者の責任」として、補助金を回収することで国の損失を補填しようとしている。最終的にこの返還金は事業者の経営を圧迫し、巡り巡って運賃やサービスに影響する可能性がある。

3.社会的・政治的責任(万博協会・政府)
万博の「目玉」としてEVバスを推奨・採用した日本国際博覧会協会(万博協会)や、新興企業を後押しした経済産業省などの政治的責任も問われている。

• 選定ミスの責任:開発実績が乏しいスタートアップに、万博という国家プロジェクトの基幹輸送を委ねた判断の甘さが批判の対象となっている。

• 責任の所在が曖昧:しかし、これらは「政治的責任」や「道義的責任」に留まり、具体的な金銭的補償を協会が肩代わりする仕組みは無い。

結局、誰が責任をとるのか?
現実的には、以下の三段階で「誰も責任をとれない」まま処理が進むと予想される。

① 倒産したEVMJの経営陣:会社が消滅するため、法的な賠償能力を喪失(刑事罰に問われるような不正がない限り、個人の財産まで差し押さえるのは困難)。

② 運行事業者(大阪メトロなど):巨額の特別損失を計上し、自社の利益を削って廃棄と返還を行う。

③ 国民・市民:補助金という名の税金が実を結ばなかったこと、および地域インフラ(バス路線)の維持コスト増大という形で、最終的なツケを払わされる。

ポイント
現在、これらの放置車両は「動かせない負の遺産」として野ざらしになっているが、破産管財人の判断によっては、一部の部品(バッテリーなど)を中国の製造元や他社が二束三文で買い取る可能性はある。しかし、購入価格に見合うような回収は絶望的だ。

まさに「国策の失敗と新興企業の品質軽視」が重なった、最悪の結末といえる。

ところで、踏んだり蹴ったりの大阪メトロとはどんな企業だろうか?

Osaka Metro(オオサカメトロ)は、旧大阪市営地下鉄が2018年に民営化されて誕生した「大阪市高速電気軌道株式会社」の愛称 で、資本金2,500億円 、駅数134駅、在籍車両数1,440両。まあこれで倒産する事は無さそうだが、痛手は大きい。