現在のイラン情勢は、2026年2月末から始まった米イスラエル連合軍による大規模な軍事作戦(「オペレーション・エピック・フューリー」)に対し、イランが「報復」として周辺国や重要インフラへ攻撃を広げている、極めて緊迫した状況にある。
そこで、「周辺国への無差別な攻撃」の状況とその背景にある理由を整理るす。
1.周辺国への攻撃状況
イランは米軍・イスラエル軍の拠点となっているとみなす周辺諸国に対し、ミサイルやドローンを用いた広範囲な攻撃を行っている。
• 対象国:サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、クウェート、カタール、ヨルダンなどの湾岸諸国。

• 攻撃目標: 石油・エネルギー施設: UAEのアブダビにある世界最大級のサワーガス田や、サウジアラビアのシャイバ油田などがドローン攻撃を受け、操業停止に追い込まれている。
◦米軍基地:各国に駐留する米軍拠点を標的としており、サウジアラビアの基地では米兵に死傷者が出ているとの報告もある。
◦民間・居住エリア:国連(UN)の決議でも非難されている通り、住宅地や民間施設も攻撃の対象となっており、多くの市民が犠牲になっている。
• 海上封鎖:ホルムズ海峡の事実上の封鎖
船舶への攻撃により通航が停止しており、世界のエネルギー供給に甚大な影響を与えている。
2.周辺国攻撃に踏み切っている「理由」
イランが周辺国まで巻き込んで攻撃を激化させている主な理由は以下の3点に集約される。
① 米イスラエルによる先制攻撃への報復
2026年2月28日、トランプ政権下の米国とイスラエルが、イランの核施設や軍事インフラ、最高指導部を標的とした大規模空爆を開始した。この際、イランの最高指導者アリ・ハメネイ師が殺害され、新体制となったイラン(モジタバ・ハメネイ氏指導下)が「全方位への報復」を宣言している。
② 周辺国への「連帯責任」の追及
イランは、米軍の駐留を許している周辺のアラブ諸国を「共犯者」とみなしている。周辺国の経済インフラ(油田や港湾)を叩くことで、これらの国々に対し、米国やイスラエルに協力するコストが極めて高いことを示し、離間を図る狙いがある。
③ 国際社会への揺さぶり(エネルギー兵器化)
ホルムズ海峡の封鎖や湾岸諸国の石油施設を攻撃することで、世界的な原油価格の高騰を引き起こしている。これは、国際社会に経済的ダメージを与えることで、米国やイスラエルに対して攻撃停止の圧力をかけさせるための、いわゆる「瀬戸際戦術」の一環だ。
加えてイスラム原理主義では、イスラムが世界を制覇する事を目指しており、その為には西欧社会の経済を壊滅させることが必要、と考えている。
日本への影響
日本政府(高市早苗総理)は、ホルムズ海峡の封鎖に伴うエネルギー供給への影響を最小限にするため、民間および国家備蓄の放出を決定している。直ちに電気・ガス料金が急騰することはないとの見解だが、ガソリン価格の抑制策など、経済活動の保護を急いでいる状況だ。
このイランの周辺国攻撃に対して、攻撃されている周辺国はどのような対応をしているのだろうか。
これについては続編にて。