2026年3月現在、ホルムズ海峡への海上自衛隊派遣をトランプ政権からの強い要請や緊迫する情勢を受け、日本国内でも激しい議論が行われている。
そこでこの件について、主な論点を整理する。
結論としては、日本がホルムズ海峡に海上自衛隊を派遣し、船舶を「護衛」できるかどうかについては、「法的に不可能ではないが、極めて高いハードルがある」というのが現状だ。
1.現在の派遣枠組み(調査・研究)
日本は現在も中東地域に護衛艦を派遣しているが、これは自衛隊法の「調査・研究」という名目だ。
活動範囲:オマーン湾やアラビア海北部に限定されており、ホルムズ海峡内には入らないのが通例。
権限の限界:この枠組みでは情報の収集が主目的であり、他国の攻撃から民間船を武力で守る(護衛する)権限は無い。
2.「護衛」を可能にするための法的根拠
もしトランプ大統領が求めるような直接的な護衛を行う場合、以下のいずれかの認定が必要になる。
海上警備行動:日本の関係船舶が襲撃される恐れがある場合、防衛大臣の発令で実施可能だ。ただし、武器使用は「正当防衛・緊急避難」の範囲に限られ、他国軍との共同作戦には制約が多い。
存立事態(集団的自衛権の行使): ホルムズ海峡封鎖によるエネルギー途絶が「日本の存立を脅かす」と認定されれば、米軍などと共に武力行使を含む護衛が可能になる。しかし、2026年時点でも「経済的打撃だけで存立事態と言えるのか」という慎重論が根強く、政治的決断としては非常に重いものだ。
3.実務上の課題
イランとの関係:日本は伝統的にイランと友好関係にある(という事になっている)。米軍主導の護衛作戦に深く関与することは、イランを敵に回すリスクを伴う。とは言え、そもそも、日本のタンカーが拿捕されたり、NHK駐在員が逮捕されたり、元々敵じゃねぇの、という考えもある。
現場の危険性:ホルムズ海峡内は非常に狭く、イランの地対艦ミサイルの射程内となっている。十分な武器使用権限(ROE)が与えられないまま派遣すれば、自衛官を過度な危険にさらすことになる。
今後の注目点
今月(2026年3月19日予定)の高市首相の訪米において、トランプ大統領から直接、自衛隊のさらなる貢献(護衛参加)を求められる可能性が高いと予測されている。
政府内では、有志連合に直接参加するのではなく、「日本独自の枠組みで、護衛対象を日本関係船舶に絞って海峡付近まで活動を広げる」といった折衷案も検討されているとも言われている。
まとめ:派遣自体は法解釈や新法の制定で「可能」だが、実際に弾丸が飛び交う海域で他国軍と肩を並べて戦うレベルの護衛を行うには、安保法制の運用に関する極めて重大な政治判断が必要となる。
さて、高市首相はどう決断するのだろうか。