韓国は日本よりも更に極度の学歴重視であり、共通入試は国民的イベントともいわれている。さて、その韓国では文系と理系の格差はあるのだろうか。
結論を先に言えば、なんと日本以上に「文系・理系」の格差が鮮明で、評価の断絶が激しい社会だという。韓国でよく使われる「文松します(ムンソンハムニダ)」という自嘲的な造語があり、これは「文系(ムン)で、申し訳ありません(チェソンハムニダ)」を掛け合わせた言葉で、文系出身者の就職難や地位の低下を端的に表しているのだそうだ。
1. 文・理の評価:圧倒的な「理高文低」
現在の韓国社会では、実利を重視する傾向が極めて強く、評価は以下のように二分されている。
• 理系:社会の「主役」
サムスン電子、SKハイニックス、現代自動車など、韓国経済を牽引する大企業の採用枠の大部分がエンジニア(理系)。理系に進むことは「食いっぱぐれのない、安定した未来への切符」と見なされている。
• 文系:生存競争の「苦境」
公務員試験や法科大学院(ロースクール)を目指す一部のエリートを除き、一般の文系学部生の就職率は理系に比べて著しく低い。銀行や一般事務職の採用も激減しており、文系出身者がプログラミングを学び直すケースも一般的となっている。
2. 志望の割合と「医学部ブラックホール」
韓国の高校・大学入試における最新のトレンドは、単なる「理系人気」を超えた「医学部一極集中」となっている。
理系志望の爆発的増加
2022年度から導入された「文理統合型」の大学修学能力試験(スヌン)により、制度上は文理の壁がなくなった。しかし、実際には「理系科目のほうが標準点(偏差値のようなもの)を稼ぎやすい」という構造があるため、上位層の生徒がこぞって理系科目を選択している。
医学部への執着
現在、韓国では「医学部ブラックホール」という言葉が社会問題化している。
• ソウル大学の工学部に合格しても、地方大学の医学部に進む。
• 文系のトップ層までもが、浪人して医学部(理系)への転向を目指す。
• 2026年度に向けた医学部定員増を巡る議論 も、この「医学部志向」に拍車をかけている。
3. 日本との比較:韓国の極端な実力主義
文系の地位
日本:総合職採用が多く、文系でも大企業に入りやすい。
韓国:職務別採用が主流。専門性のない文系は採用されにくい。
理系の地位
日本:研究職の給与が抑えられがち(近年改善傾向)
韓国:初任給から文理で明確な差がある。
大学入試
日本:文理選択が早い段階で固定される。
韓国:制度上は統合されたが、点数を取るために理系科目に集中。
4. 教育制度の変革(2028年改革に向けて)
2028年度の入試改革では、内申評価を5段階へ緩和し、共通テストを完全に文理共通化する方針が示されている。これは「文系・理系の二分化による弊害(文系の疎外)」を解消する狙いがあるが、現場では「結局、就職に有利な理系的な学びをしないと生き残れない」という冷めた見方が大勢を占めている。
まとめ:日本もこうなるのか?
日本でもジョブ型雇用の導入が進めば、韓国のような「専門スキル(理系・IT・専門職)偏重」の評価体系に近づく可能性は高い。ただし、韓国ほど「学歴と専攻が人生のすべてを決定する」という極端な強迫観念は、まだ日本には及んでいない。
とはいえ、最近の日本もお馴染み文系総合職から理系(エンジニア)に人気が移ってはいるし、現実には、「MARCH以上→大企業文系総合職」というモデルが、すでに企業側から崩され始めている、今日この頃。