世の中には超高価なオーディオ機器によるピュアオーディオと呼ばれる世界がある。
下の写真の高級パワーアンプは715,000円で販売されていた。定格出力:150W+150W(8Ω)。重量は30㎏!。
成程、見るからに高級そうな外観で、特に大型のレベルメーターが目を引き、もう見ただけで素晴らしい音が出てくる気がする。
これに対して、PA用パワーアンプとしてプロの世界では有名なブランドである「クラウン」のXLS1502という定番アンプは、73,000円くらいで販売されている。
パワーは300W+300W(8Ω)、重量は4kg。
前述の高級ピュアオーディオ、パワーアンプに比べて、価格も重量も一桁少なく、パワーは2倍。
まあ、パワーについてはスペックだけで比較してもあまり意味はないが、それにしてもこの価格の違いは何だろうか。
ところでプロ用機材の場合、パワーアンプとの接続はというと、入力はXLR、通称キャノンコネクタと呼ばれる3ピンのがっちりしたコネクタが使われる。これはバランス接続という信号線 のー側とシールドが別になっているのが民生機との大きな違いだ。インピーダンスは一桁低く、これらが何十メートルものマイクケーブルを使用してレコーディングされても、音質が劣化しない秘密だ。
これにより、ピュアオーディオをでお馴染みの、1mで何万円もするケーブルを使い最短距離で接続するという、高級オーディオマニアの間では常識となっている事が、如何にバカバカしいかという事だ。
またスピーカーとの接続用の出力端子には、「スピコン」といわれる、ワンタッチの専用コネクタが使われている。このケーブルは多少高くて、イベントのPAでは定番のCANARE ( カナレ ) / SCは10mで9,000円弱となる。
なお、クラウンのアンプは入力にXLRと共にRCAジャック、出力にはネジ式のターミナルも装備されているから、家庭用としても使えるというか、民生用機器との接続も考慮してあるという事のようだ。
それでは、前述の715,000円の高級パワーアンプの接続端子はどうだろうか?
入力にはXLRが装備され、コネクタ下部には「BALANDED」と表記されているから、ミキサーなどのプロ用機器と接続できるのだが、果たしてこんなアンプをPAなどに使うだろうか?
恐らく、最高級品だけあってプロ用機器との接続もできる、という精神的なものだろう
実は、高級オーディオ機器について、生成AIに聞いてみた。その結果は
🧪 プロの世界とオーディオマニアの世界の違い
項目 | プロ(録音) | ピュアオーディオ(再生) |
---|---|---|
接続方式 | バランス(XLR) | アンバランス(RCA)が多い |
ケーブル長 | 数m~数十mでも許容 | なるべく短くが理想 |
音質の評価軸 | 客観性・再現性 | 主観的な感動・情緒性 |
実用性 | 作業性重視 | 音の「美」を追求 |
要するにピュアオーディオは感動・情緒的なものを求めるのであって、冒頭のアンプのように見るからに高級感のある大型のレベルメーターが付いているのは、精密にレベルをチェックするためではなく、その雰囲気が如何にも良い音を出しそうな雰囲気を醸し出している事と、70万円という価格からくる期待感から、出てくる音が本当に安物とは一線を画した素晴らし音と脳が認識すると、本当に良い音と感じてしまうという事らしい。
前述のパワーアンプの出力にはスピコンは付いていないが、他メーカーにはスピコン端子付いているものもあるという。これらのマニア向けの店では、前述のカナレのケーブルを10万円とかで売っていたりする。
高価なもの=良いものという考えから、寧ろ異常なボッタクリ価格で販売した方がユーザーが喜ぶという独特な心理をうまく掴んだ商法といえる。
まあ、趣味の世界であり、自分の金を何に使おうが大きなお世話だから、ここは何も言わない事にしよう。
って、言ってるじゃねぇか(笑