空自F15戦闘機 日本版アップグレードで第4.5世代に進化




1976年から運用されている米国の大型制空戦闘機F-15はその後、航空自衛隊、イスラエル航空宇宙軍、サウジアラビア空軍などが採用し現在に至っている。

F-15 は第4世代ジェット戦闘機で、既に半世紀の間使用されているが、その為には常に改良されてきて、初期のF-15と最新モデルではまるで別の機種と言っても良いくらいだ。

日本向けとしてはF-15C/Dイーグルを三菱重工業が中心となり、日本の航空自衛隊向けにノックダウン及びライセンス生産した制空戦闘機であるF-15J/JDがある。単座のF-15Cを原型とする「F-15J」と、機体能力は同一のまま複座としたF-15Dを原型とする「F-15DJ」の2機種がある

1977年に正式採用されて以来、F-15J 165機と複座型F-15DJ 48機の計213機が製造された。これは開発国米国に次ぐ保有数で、米国外での使用機総数356機の約6割を占めている。

そのF-15Jは2022年から三菱重工とボーイング社の契約により、アップグレードを始めている。ボーイングはF-15Jアップグレードパッケージ「Japanese Super Interceptor(JSI)」に基づき、ボーイングはJSI仕様に改造するための図面、地上支援装置、技術資料を提供し、この改造により米軍の最新鋭モデルF-15EXに近い構成となる。

改修により、米空軍のF-15Eアップグレード用に開発されたレーダーでイスラエル空軍もF-15Iのアップグレード用として採用した実績を持つ「AN/APG-82(V)1」が搭載され、空対空モードと空対地モードの同時使用が可能となる。そのためF-15JSIは単なる迎撃機ではなく「マルチロール機」としての能力を獲得する。

加えて、ミッションコンピュータ「ADCP II」は1秒あたり870億回の命令処理能力を備える「世界最速のミッションコンピュータ」でF-15EやF-15EXが搭載するものと同じとなる。エンジンについてもより強力なF110-GE-129に換装される。

ただし、JSIパッケージにはコックピット周りの改修内容や赤外線捜索追尾システム(IRST)が含まれていない。しかし、日本には独自で開発する能力があるために、自国製を搭載するだろう。

また、F-15EXとは異なり「フライ・バイ・ワイヤシステム」に対応できないので、機体の制御システムは依然として操縦性増強装置(CAS)+油圧機構となる。

とは言え、米国のF-15EXとほぼ同様の性能を獲得し、第4.5世代といえる戦闘機になる。

この改修が実施されるF-15Jは航空自衛隊が所有する全ての機体ではなく、これまでに近代化改修を行ってきた機体のみがJSI仕様へとアップグレードされるために、最大98機だが、これだけの第4.5世代戦闘機の所有は世界的にみても上位と言える。

こんな、戦力を持つにも関わらず「軍隊」ではなく「自衛隊」というのも、いい加減になんとかしろよ、と思う今日この頃。