クルマ試乗記の裏話49 【軽自動車1】




b-otaluのクルマ試乗記は主として欧州車を中心としていたが、他にも各種国産車も試乗するように心がけていた。しかし、軽自動車については中々試乗のチャンスもなかった。その理由は単純にスズキやダイハツのディラーにコネが無かった事だ。

ところが、日産はスズキからMRワゴンのOEM供給を受けて「モコ(MOCO)」という名称で発売していたたのだった。そして2代目にFMCされた2006年に馴染みのニッサンディーラーにも試乗車が用意された事から、当サイトとしては初めての軽自動車試乗となったのだった。
NISSAN MOCO 2006年4月

結果は意外にも想像していたよりもマトモな操安性だった。勿論、「軽としては」だが‥‥。しかし、自然吸気の660㏄エンジンのパワー不足はどうにもならなくて、精々市街地のチョイ乗りというか、奥様の買い物用というところだった。

そして次に試乗したのは同じくニッサンがスズキからアルトをOEM供給を受けて販売した「ピノ(PINO)」という車種だった。
NISSAN PINO 660S 2007年12月

アルトというのは軽の中でも最も低価格帯の車種であり、当時の価格で65.6~110.5万円だった。ただし、PINOは86.1~115.2万円と最廉価グレードは用意されていない。それで、試乗した660S(91.4万円)の結果は惨憺たるもので、低パワーに加えて3ATというトランスミッションの組み合わせだから動力性能はどうしようも無く低く、加えて操安性もまるでダメ。これじゃあ、とても家族に使わせるわけにはいかなという代物だった。

実際ニッサンディーラーの営業マンは、ハッキリ言ってお客さんにはとても勧められないので、会社からは売るように言われているけど、お客さん自身が余程欲しがらない限りは勧めないと言っていた。

ところがスズキは2009年12月にアルトをFMCし7代目となった。日産がピノとして販売を始めてから3年を経たずしてFMCされた事になり、この時点で日産ピノも販売を終了している。

さて、余りにも酷かった先代アルトに対して、どのくらい変わってのかを知るために、思い切って近所のスズキディーラーに試乗に行った。
スズキ アルトG 2WD 4AT 2009年12月

結果はアッと驚く程に改良されていた。上記の試乗記で噂として、『さるスズキ系ディーラーの店長さんが、奥さん用に新型アルトを早速購入したそうだ。店長曰く「今までのアルトじゃ、とてもじゃないが家族に乗せる気にはならなかったが、こんどのなら自ら買う気になれる」とのこと。あっ、これはあくまで噂話ですからねっ!』と書いているが何を隠そう、その発言は試乗したディーラーの店長のものだった。

アルトの変身で精神的にを一番楽になったのは、何を隠そう売っていた営業マン達だったのだ。