韓国では昨年8月、医大の定員を4000人増やすという政府の政策を受け入れられないとして、大韓医師協会を中心にした医師がストライキを強行するなど、医療行政がボロボロ状態だが、遂に最近は研修医の多くが病院を退職するという事態にまで至っている。
研修医の集団離脱は初期研修医が行っていたが、ここに来て医療の最前線に立っていた後期研修医までは労働契約の延長を拒否する事態となった。
朝鮮大学病院では初期研修医142人のうち、113人が政府の医学部定員数増員案に反発し20日から23日まで診療現場を離れ、保健福祉部が業務復帰命令を発したが復帰はしていない。この結果手術日程の縮小、軽症患者の早期退院・転院などにより、救急室や集中治療室など必須医療機能の維持に集中する非常診療態勢を取ってきたという。ところが、この非常診療を担う後期研修医までもが退職してしまったら、医療の空白が更に拡大するだろう。
こんな状況だから、診療・処置・手術は医療法上、医師が行わなければならないが、医師不足から看護師が一の一部業務を行っているのが現状であり、初期研修医が行っていた動脈血採血、血液検査、心電図検査、ドレッシング(創部保護)などを看護師が代わりに実施しているという。
またソウルの病院では初期研修医の業務である尿道カテーテル挿入・動脈血採血・手術同意書を受け取る行為を看護師がしているという事だが、これに対してストライキを実行している初期研修医が医師の業務をしている看護師を告発しようという動きもあるようで、看護師たちは処罰されるリスクまで負わされている。
このような韓国の医療について米タイム(TIME)誌は、韓国は先進国の中で患者数に対する医師の割合が最も低い国の一つだが、民営化された医療システムにより医師の年収は世界最高水準だという。
OECDのデータでは韓国の専門医のうち勤務医の平均年収は約3,000万円という高給だ。いやまあ、驚くよねぇ。それでストやっているとか。
韓国の医師が増員に反対しているのは、医師の数が増えれば所得が減るためだと英BBCも伝えている。また韓国の医師は皮膚科と整形外科に集中していて、小児科や産婦人科などの収益が低くリスクの高い診療科の研修医が不足しているそうだ。
日本の勤務医の年収って恐らく韓国の半分以下だろう。それでも多くは使命に燃えて夜中まで働いている医師が多いのは、日本人の精神レベルの高さだろうか。
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