クルマ試乗記の裏話45 【BMWのナンチャッてM(その2)】





M3のナンチャッてMである318i Mスポーツについては既に取り上げたが、今回はその上位モデルである5シリーズのM、すなわちM5525iMスポーツをネタにして、本物とナンチャッての比較を行ってみる。

価格はM5が1,290万円(2004年11月)に対して525i M スポーツは645万円とほぼ半分だ。そうは言っても一般庶民からすればクルマに600万円以上はチョイときついから、それなりの収入のある階層が購買層だった。

エクステリアは一見するとそっくりだ。まあ、よく見ればフロントバンパー内のアンダーグリルが微妙に違う形をしていたり、M5のサイドパネルはブリスターフェンダーの為にマッチョ感が違いなどはあるが、大きな違いとしてはフロントフェンダー後方のエア排気口くらいなものだろう。

タイヤサイズが525i Mスポーツが前後共に245/40R18、M5はフロント255/40R19リア285/35R19とホイールサイズも違うのだが、10本スポークのホイールはデザインがそっくりで、一見すると違いが判らない程だ。

エクステリアについては、3シリーズのMスポとM3よりも違いが少ないから、ナンチャッてM5としては充分だ。。

内装を比べてみると、そもそもM5はスポーツというよりもラグジュアリー志向であるのが判る。525i Mスポーツも座面がファブリックでサイドがレザーと決して悪くはないが、流石にM5の高級感には敵わない。でもまあ比較しなければ判らないし、通常の使用では全く問題はない。

ダッシュボードは当然ながら同じ金型から作られいるから基本的には同じだが、トリムの材質などは異なる。なお、M5はセミオートが基本だからシフトレバーも異なっている。それでもステアリングホイールはソックリだ。まあ革の質は違うかもしれないが、どちらかと言えばMスポ用をM5が流用している、という雰囲気だ。

メーター類は525iがFS240km/hの速度計と6,400rpmからレッドゾーンの回転系、M5はFS330km/hの速度計と8,200rpmからレッドゾーンの回転系で、これはエンジンの性能が圧倒的に強力なのだから当然だ。セミオートのM5にはステアリングホイールにパドルスッチが付いている。

エンジンルーム内の眺めは全く異なり、525iは直6 2.5L 192ps/6,000rpm 245N・m/3,500rpm。対するM5はV10 5.0L 507ps/7,750rpm 520N・m/6,100rpm

しかし、レース毎にオーバーホールするF1ならともかく、一般道での使用が前提のM5で、そんな使い方をしたら耐久性に問題がでてしまうために、デフォルトではパワーを落とした400psモードで使用し、本気の時だけフルパワーのモードにするという、言ってみれば金持ちの自己満足用のクルマだった。

さて、それではナンチャッてM5の走りはというと
BMW 525i M‐sport (2004/12/5)

なお、Mスポではないが、3.0Lの530iについては
BMW 530i (E60) (2003/11/07)

加えて、E60が発売された直後に試乗した525iは
525i(E60) (2003/11/17)