試乗記というからには多くのクルマ、それも憧れの欧州車に試乗する必要がある。ディーラーとしては「購入検討の為の試乗」というのが本来であるから、BMW3シリーズで乗り付けてEセグメント車の試乗をする事は極自然に受け入れてくれる。という事で、5シリーズとEクラスとなれば、残るアウディA6の試乗も欠かせないところだ。
⇒アウディ A6 2.7T クアトロ(2002/05/13)
ところで、試乗記を書くにあたっては極力公平な評価をするように努めてきたし、有難り事に実際にそれが読者に評価されて来たのだが、今初めて白状するのだがアウディA6に関しては事情により多少の忖度がある。
欧州車のブレーキパッドはセミメタリック(セミメタ)という材質であり、効きの良い反面ホイールの汚れが酷く、ディスクローターの減りも早い。これは日本のユーザーが嫌うところだが、それ以上に米国のユーザーもこれを嫌がるのだった。そこでフォルクスワーゲンはパサートの対米仕様(と日本向仕様)のパッドを日系メーカーのフランス工場で生産するノンアスベストタイプを採用する事にしたのだった。
ただし、フランス工場には設計部門が無いために日本の開発部門が担当する事となった。そして無事に納入が始まったら、最初の予定よりも数が多い。これゃどういう訳かと思ったらば、アウディA6と共通のために、こちらにも採用されていたのだった。
なお、日本での設計担当は名目上若手にしたが、実質は‥‥へっへっへぇ。
この話をディーラーでバラした事により、その後のアウディの試乗は実にスムースに事が運んだのだった。そしてこれが、他のブランドでも一般のマニアに比べて、何故にこれだけ多くの高価な車に自由に試乗しているのかという疑問への答えだ。
という事で、老い先短いこの機に及んで、遂にばらしてしまった。