『VIVANT』の記録的大ヒットと幅広い層からの絶賛は、TBSのドラマ制作部門に依然として日本トップクラスの企画力・技術力・現場力を持った優秀なクリエイター陣が残っていることを強く印象付ける出来事だった。

報道番組などの論調に対する保守派からの厳しい視線と、今回のドラマに対する高評価のギャップを読み解く上では、いくつかの構造的な要因が考えられます。
報道部門と制作部門の組織的独立性

テレビ局は巨大な組織であり、報道・情報番組を担う「報道部門」と、ドラマやバラエティを手掛ける「制作部門」では文化も人員も大きく異なる。報道に対する批判が局全体のイメージに繋がりがちだが、現場のドラマ制作陣は思想的なポリティクスよりも「いかに質の高いエンターテインメントを作って視聴率と話題性を取るか」に特化して動いているため、優秀な作り手が独立した志で作品を生み出す環境が維持されている。
従来のテレビドラマの「お約束」を打ち破ったテーマ性

『VIVANT』が保守層からも支持された最大の理由は、従来の地上波ドラマでは避けられがちだった「自衛隊の秘密諜報組織(別班)」や「国家安全保障」「海外での諜報戦」といったテーマを正面から扱った点にある。安易な反権力主義や自虐的なメッセージに逃げず、「国を守る者たちの誇りと葛藤」をスケール豊かに描いたことが、これまでの民放ドラマに不満を感じていた層にも深く刺さる結果になった。
「日曜劇場」が培ってきた制作基盤と投資力

TBSの「日曜劇場」枠は、『半沢直樹』や『下町ロケット』などに代表されるように、巨額の予算と一流のキャスト・スタッフを投入して重厚なエンタメを作る独自のエコシステムを持っている。今回も福澤克雄監督をはじめとする実績あるチームが、長期のモンゴルロケや映画並みのVFX、複雑な伏線回収をやり切る圧倒的な現場力を発揮した。こうした大規模作品を仕切れる技術者やプロデューサー層の厚みは、一朝一夕には失われない同局の強みと言える。
一部の報道や情報番組の論調だけで局全体を判断すると見落としがちだが、劇的なヒット作を生み出せる優秀な人材や、「面白いものを作るためには巨額の投資と挑戦を厭わない」という制作現場のスピリットは、TBSの内部にしっかりと受け継がれていることを示す好例と言える。