AfDが政権をとったらウクライナ支援を終了しロシアとの関係を修復


ドイツの右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が政権を獲得した場合、ウクライナへの軍事・財政支援を即座に終了し、ロシアとの外交・経済関係(特に安価な天然ガスの供給)を修復するという方針は、同党が公式に掲げている中核的な政策パッケージそのものだ。

同党の共同代表であるアリス・ワイデル氏やティノ・クルパラ氏らは、一貫して現在のドイツ政府(フリードリヒ・メルツ首相率いる大連立政権など)による対ウクライナ支援政策を激しく非難している。

🔷 AfDが掲げる具体的な方針と背景には以下の要素がある。

1. ウクライナ支援の即時停止
• 軍事・財政支援の中止:AfDはウクライナへの武器供与や融資を「勝ち目のない戦争への納税者の無駄遣い」と断じ、全ての支援を真っ先に停止するよう要求している。

• EU・NATO加盟への絶対反対:ウクライナの欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)への加盟プロセスには完全に反対する立場をとっている。

2. ロシアとの関係修復とエネルギー供給の再開
• 経済制裁の解除:西側諸国による対ロシア制裁を「ドイツ経済を自滅させるもの」と批判し、制裁の即時解除を求めている。

• ノルドストリームの復旧:かつてドイツ経済の競争力を支えていた安価なロシア産天然ガスを再び導入するため、爆破された海底パイプライン「ノルドストリーム」を修理し、供給を再開すべきだと主張している。

3. 世論を動かすための新たなロジック(ノルドストリーム賠償論)
• AfDは「ウクライナは底なしの穴である」と言い表すだけでなく、ドイツ連邦検察によるノルドストリーム爆破事件の捜査(ウクライナ人工作員の関与説)を政治的カードとして利用している。

• ワイデル共同代表らは「支援の受け手であったウクライナこそが、ドイツの重要インフラを破壊した加害者である」と主張し、ウクライナに対してドイツへの賠償を求めることで、支援打ち切りとロシアとの関係修復に向けた世論の後押しを狙っている。

🔷実現性における「政治的防壁(ファイアウォール)」の壁

AfDは国内の経済停滞や物価高、エネルギー不安を背景に支持率を拡大させており、政権入りを現実的な目標として見据えている。

しかし、ドイツの既存の主要政党(キリスト教民主同盟(CDU)や社会民主党(SPD)など)は、極右・民主主義の脅威とみなされる同党との連立を拒否する「政治的防壁(ファイアウォール)」を維持している。そのため、AfDが単独過半数を獲得するか、あるいはこの防壁が崩れて他党との連立が成立しない限り、国家レベルでこの方針が直ちに実行されるわけではない。