英国の自動車工業会(SMMT)の2024年通年データによると、BMWは新車販売台数(ブランド別)でフォルクスワーゲン(VW)に次ぐ第2位を獲得した。かつて市場を牽引したフォードなどの大衆車ブランドを抑え、プレミアムブランドが上位に入った背景には英国特有の税制や購入環境が影響している。
🔷会社用車(フリート需要)と税制(BiK)の優遇
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英国新車市場は企業が社員に与える「カンパニーカー(社用車)」や法人フリート需要が大きな割合を占めている。英国の現行現物給付税(BiK: Benefit in Kind)は CO2 排出量が少ない車(EV・PHEV)に大幅な節税メリットを設定している。BMWは「330e(PHEV)」や「i4」「iX1(BEV)」などの電動モデルを拡充したことで、節税を狙う法人・ビジネスユーザーの需要を大量に獲得した。
🔷 大衆車ブランドのモデル整理と需要の流入

長年英国でトップシェアを誇っていたフォードが国民的コンパクトカー「フィエスタ」の生産を終了するなど、大衆車メーカーが低利益率な小型ハッチバックから相次いで撤退・縮小した。この受け皿として、BMWの「1シリーズ」や「X1」といったエントリーモデルへ需要が流出・格上げされた。
🔷残価設定ローン(PCP)による「月々の安さ」

英国の個人向け購入では、残価設定ローン(PCP: Personal Contract Purchase)の利用が主流で、BMWのような高級車は中古市場での資産価値(残価)が高く維持されるため、車体価格が高くても「月々の支払額」は大衆車と同等レベルまで抑えられる。その結果、一般ユーザーにとっても手の届きやすい選択肢となっている。
🔷電動化への柔軟なマルチパワートレイン戦略

BMWは同一モデルでガソリン・PHEV・BEVを選択できるプラットフォームを採用しており、急激な完全EV化に踏み切れない層から完全EV移行層まで、多様な顧客ニーズを取りこぼさずに捉えている。
🔷英国経済・文化との深い結びつき

BMWグループは英国国内に「MINI」(オックスフォード工場)や「ロールス・ロイス」(グッドウッド工場)の生産拠点を保持している。国内製造業への貢献による親しみやすさと強力なディーラー網が整備されている点も高いシェアを支える要因となっている。