中国で9月から施行される技術安全や輸出管理による直接的な出国制限


2026年9月15日から施行される「出境入境管理に関する国務院規定」(国務院令第841号)において、技術安全や輸出管理の違反を理由とする直接的な出国制限の対象として条文上明記されているのは「中国公民(中国籍者)」であり、外国人はその直接的な適用対象としては記載されていないようだ。

今回の新規定において、外国人に対して主に対象となっているのは「入国制限の強化」や「申請資料・招聘状の審査厳格化」という、「出」ではなく「入り」の規制だ。

1. 新規定における「技術安全・出国制限」の対象(第4条第3款)

新規定の中で最も注目されている「産業安全・技術安全に基づく出国制限」の規定内容は以下の通り。

• 対象者: 中国公民
• 要件: 輸出管理(出口管制)や技術進出口(輸出入)管理などの規定に違反し、「国家の産業安全や技術安全を脅かす恐れがある」と判断された場合。
• 措置: 国務院の商務部門(商務部など)等の管轄当局が、刑事判決や行政処罰の確定を待たずに(調査段階などでも)行政判断で出国禁止(制限)を決定できる

この条項は、中国国内で重要技術や先端技術を扱う自国の研究者・エンジニア・企業幹部による海外への技術流出を防ぐことを目的に新設されたものだ。

2. 新規定(9月15日施行)における「外国人」への影響

外国人に対して今回の新規定が重点を置いているのは、出国制限ではなく「入国管理の厳格化」だ。

• 虚偽申請へのペナルティ: ビザ申請や入国審査で虚偽の書類提出や説明を行った場合、1〜5年間の入国禁止措置が科される。

• 制裁リスト等との連動: 反制裁リスト(カウンターサンクション)、不可靠实体清单(信頼できない主体リスト)等に掲載された外国人に対しては、ビザ発給拒否や入国不許可が直接適用される。

• 招聘(招待)元の責任強化: 外国人を招く中国国内の企業・機関・個人に対し、招待内容の真実性に対する法的責任と確認調査への協力義務が課される。

3. 外国人高度技術者の「出国制限」に関する実務上の留意点

今回の新規定の第4条(技術安全による出国制限)自体は外国人を直接指していないが、「外国人が中国から出国できなくなるリスク」がなくなったわけではない

既存の根本法である「中華人民共和国出境入境管理法(第28条)」や各種関連法(反スパイ法、国家秘密保護法、民事/刑事訴訟法など)に基づき、以下のような状況では従来通り外国人も出国制限(ノーシット/出境制限)の対象となる

① 企業・技術トラブルでの民事・労働紛争: 外国人技術者が勤務先や提携先との間で営業秘密や特許、契約を巡る未解決の民事訴訟・紛争を抱えている場合(裁判所等による制限)。

② 刑事事件・捜査の対象: 輸出管理違反や国家秘密漏洩などの容疑で取り調べを受けたり、重要参考人として指定された場合。

③ 国家安全当局の判断: 国家安全または国家利益を害する恐れがあると国務院の関連機関が認定した場合。

まとめ
9月15日施行の新規定により「技術安全違反を理由とした行政主導の即時出国制限」の網が直接かかったのは中国籍の研究者や技術者・企業幹部です。外国人の高度技術者については、「入国時の審査・ビザ管理の厳格化」が今回の新規定による主な変化点となる。