来年のフランス大統領選挙でマリーヌ・ルペンが当選したらEUはどうなるのか


2027年フランス大統領選挙への出馬可能性が高まっているマリーヌ・ルペン氏。もし彼女が当選して「ルペン政権」が誕生した場合、EU(欧州連合)は即座に解体・崩壊するわけではないが、史上最大の機能不全と構造的な変容に直面することになる。

かつて彼女が掲げていた「Frexit(EU離脱)」や「ユーロ離脱」ではなく、現在は「EUの枠内に留まったまま、内側から超国家権力を骨抜きにし、主権を取り戻す」というのが国民連合(RN)の基本路線となっている。

主な影響と懸念点
1.「仏独枢軸」の機能停止とEU推進力の失速

EUの政策を牽引してきたフランスとドイツの協調体制(仏独エンジン)が完全に凍結する。ドイツをはじめとする統合推進派との深刻な対立が常態化し、主要な意思決定が麻痺することになる。

2.EU予算をめぐる激しい対立

フランスはドイツに次ぐEU予算の第2位の純拠出国であり、ルペン氏はフランスの拠点金カットを公約としている。これが実行されればBrussels(EU本部)の予算に巨大な穴があき、東欧や南欧加盟国への補助金配分をめぐって紛争が激化する。

3.国境管理の復活と「自国民優先」の波紋

• シェンゲン協定の空洞化:自国独自の国境管理・検問の再導入を強行。

• 自国民優先(Préférence Nationale):雇用や社会保障で自国国民を優先する政策は、EUの根本原則である「ヒトの移動の自由」や「加盟国間の不差別原則」と直接衝突する。

4. 安全保障・ウクライナ支援の転換

• 対ウクライナ支援の縮小:軍事支援や資金供与に極めて消極的となり、独自の和平交渉模索へシフトする可能性が高い。

• 独自主権への回帰:EU共通防衛構想やNATO統合軍機構から距離を置き、フランスの軍事主権を最優先する。

5.環境規制(グリーンディール)の撤回

EUが推し進める「EUグリーンディール」や炭素国境調整措置(CBAM)に対し、国内の農業や産業を保護する名目で反発し、EU法を守らない姿勢を見せることが予想される。

影響のまとめ

影響のまとめ

結論:
ルペン氏の当選は、EUの「即時崩壊」ではなく「超国家機関としての機能不全と、国家連合への先祖返り」をもたらす。ハンガリーやイタリアなどの右派・EU懐疑派政権と連携することで、EUは強い権限を持つ一体的な組織から、ゆるやかな連合体へと変質していくだろう。