ドイツの右派政党「AfD(ドイツのための選択肢)」の全国党大会に対しては、左翼団体や反ファシズム(Antifa)グループ、市民団体による大規模な抗議活動や、会場へのアクセスを物理的に遮断する「ブロッキング(妨害行動)」が恒例化・激化している。
直近の2026年7月のエアフルト党大会や2024年のエッセン党大会における出来事を中心に概要をまとめた。
🔷直近の主な事例:2026年7月 エアフルト党大会

2026年7月4日〜5日にテューリンゲン州エアフルトで開催された第17回AfD全国党大会では、大規模な妨害行動が発生した。
• 目的と規模:左翼・反ファシストの連合体「Resistance」などを中心に数千〜数万人規模の反対派が集結。約600名のAfD代議員が会場に入れないようにすることを狙いとした。
• 過激化した妨害手法:
◦ 会場周辺の道路やトラム(路面電車)の線路での大規模な座り込み。
◦ 高速道路の橋からロープで吊り下がって交通を止めるアブセイル行為。
◦ レールや道路に自らの身体・手を強力接着剤で貼り付ける強行策。
◦ 発煙筒の投擲やセキュリティ柵の突破試み。
• 警官隊との衝突:警察は数千人規模の機動隊を動員。封鎖を解除するために催涙スプレー(ペッパースプレー)や警棒を使用し、一部で激しい衝突・拘束劇に発展した。
🔷2024年6月 エッセン党大会での大規模妨害

2024年6月末にノルトライン=ヴェストファーレン州エッセンのグルガホールで開催されたAfD党大会でも同様の事態が起きていた。
• 数万人規模の包囲:約5万〜7万人規模の抗議デモ・妨害行動が行われ、会場へ続く主要道路が封鎖された。
• 治安への混乱:警察への投石や暴力行為が報告され、大規模な交通遮断や厳戒態勢により都市機能が一部麻痺した。警察側は放水車や催涙スプレーを配備して会場アクセスを確保した。
🔷なぜここまで妨害が激化するのか(背景)

「言論の戦い」から「物理的阻止(Blockade)」へ
ドイツの左翼・反極右勢力は、単に演説に異議を唱えるだけでなく、「政党としての組織活動・意思決定の場そのものを物理的に立ち行かなくさせる」直接行動を重視している。
・AfDの「極右」認定と危機感
AfDは連邦憲法擁護庁(BfV)から過激主義団体・監視対象として位置づけられており、主要政党や左翼勢力は「AfDの台頭はナチズムの歴史を繰り返す民主主義の危機」と強く警戒している。
・「ファイアウォール(防火壁)」の維持
他党がAfDとの連立を拒否する「ファイアウォール」戦略をとる中、市民・左翼運動側も現場での実力行使によってAfDの政治活動の正当化を防ごうとしている。
🔷 この問題の影響とAfD側の対応

• 警察警備コストと治安問題:党大会のたびに数千人規模の警察が動員され、巨額の警備費用と市街地の混乱が社会問題化している。
• AfDによる「被害者性」の強調:AfD側はこの妨害行動を利用し、「自分たちは暴力を伴う左翼過激派の被害者であり、既存メディアや政党はこれを放置している」とアピールして支持層の結束を強める材料にしている。
警察の力で封鎖を排除することで最終的に党大会自体は開催・完遂されているが、AfDが党大会を開くたびに左翼運動との間で「厳戒態勢と衝突」が繰り返される構造が定着している。