2026年4月の制度見直しにより、BYD車の国のEV補助金(CEV補助金)は全車種一律15万円に減額された。バッテリーのサプライチェーン透明性や重要鉱物の調達体制など、メーカー全体の取り組みが厳しく評価された結果だ。
BYDの補助金が大幅減額となった理由
• 急速充電インフラの整備実績(高ウエイト):国内にどれだけ自社で急速充電器を設置、または整備貢献しているかが厳しく問われる。国内メーカーや先行するテスラに比べ、参入して日の浅いBYDはこの実績点で大きな差をつけられた。
• アフターサービス・整備網の展開:日本全国にどれだけの整備工場やディーラー網を張り巡らせ、EVのメンテナンスやバッテリーリサイクルに対応できるかという拠点数・体制の評価で、BYDは店舗展開を急ピッチで進めているが、歴史のある国産ディーラー網の網羅性には及ばない。
• サイバーセキュリティへの対応:車両のコネクテッド化(通信機能)に伴うサイバーセキュリティ対策や、アップデート体制、さらにデータの管理体制(データセンターのロケーションやセキュリティ基準)も評価対象となった。
• 災害時の地域連携・給電体制:災害時に自治体と連携してEVを電源車として速やかに派遣する協定を結んでいるか、といった「社会インフラとしての貢献度」が点数化された。
国産車(日産・トヨタ・三菱など)
• 補助金額:最高クラス(最大85万円枠を維持)
• 違いの理由: 長年培った全国のディーラー・整備網、系列を通じた充電インフラの整備実績が圧倒的で、日産(サクラ・リーフ)や三菱などを筆頭に、日本の地方自治体との災害時連携協定(災害時にEVを避難所に派遣する等)をすでに高密度で結んでおり、新設された「ライフサイクルや社会貢献度」の項目で満点に近い点数を獲得している。
テスラ(Tesla)
• 補助金額:高水準を維持(一部車種で満額〜それに準ずる額)
• 違いの理由: 海外メーカーでありながら、テスラは日本国内において独自の高出力充電ネットワーク(スーパーチャージャー)を自費で急速に拡大してきた実績が非常に高く評価されている。また、車両のOTA(無線アップデート)によるサイバーセキュリティ対応や、ソフトウェア管理体制の先進性でも点数をしっかりと確保し、BYDのような大幅減額を免れた。
この決定的な減額の背景には、当然政治的側面がある。
高市政権による「ピンポイントの中国排除」という政治的背景
この制度改定の最も本質的な側面は、技術的な基準の皮を被った高市政権による明確な「経済安全保障政策(対中インフラ排除)」といえる。
• 保守派からの強い支持:「通信機能(コネクテッド)を持つ中国車が日本のインフラに深く入り込むことへの安全保障上の懸念」や、「日本の血税(補助金)が中国のEV産業を利している」という不満に対し、高市政権がピンポイントで楔を打ち込んだ形だ。
• テスラとの明暗を分けた「サイバーセキュリティ・データ管理」:テスラが満額〜高水準を維持できている一方でBYDがここまで狙い撃ちされたのは、車両から吸い上げられるデータの管理体制や、サイバーセキュリティの評価において、政府側が「安全保障上のリスク(実質的な中国リスク)」を厳格に査定した結果と言える。
一見すると「充電器の数」や「整備工場数」という客観的なインフラ評価を装いつつ、その実態は中国製EVの日本市場浸透を国策として防波堤を築いて阻止するものであり、このドラスティックな方針転換は国内の保守層からも非常に高い賛同と支持を集めている。
では、今後BYDの国内販売はどうなるのか?
・初期計画からの大幅な遅れ:BYDは当初、早期の国内100店舗展開などを掲げていたが、実際の出店ペースは大きく停滞している。
• 販売低迷による「参入敬遠」の悪循環:輸入車大手のヤナセ(伊藤忠商事傘下)が合弁やインフラ整備などで下支えを試みているものの、肝心の販売台数が伸び悩んでいる。この惨状を見た地方の整備業者や中古車販売店が、高額なEV専用の設備投資(専用診断機や高電圧対応ピットなど)をしてまでBYDネットワークに新規参入する動機は皆無だ。
• 補助金復活の道はほぼ閉ざされている:整備網(サービス拠点)が増えなければ、新制度の評価点数は上がりようがない。販売不振 → 整備網の硬直 → 補助金の低迷 → さらに売れない、という完全な負のスパイラルに陥っており、次年度以降に補助金が復活する見込みは極めて低いと言わざるを得ない。
さ~て、BYDは何時まで日本での販売網を維持する事が出来るのだろうか。大赤字を中国が補填し続けるのだろうか。